2005-01-31

友あり、遠方よりSOS来るあり

大学院の同期からせっぱつまったメールが来ました。締め切り間近でどうしても手伝ってほしい仕事があるとのこと。詳しく聞いてみると、これは泣き言が出るのも納得という仕事の量。しかも納期は間近で、たったの二日後。

2月に札幌でスノーシュープログラムを行う計画があり、今日はその下見に行く予定でいましたが、どうもそんなことを言っている場合ではなさそうです。お世話になった友人ですし、「情けは人のためならず」ということわざもあります。東川に帰る日を一日遅らせて、下見は延期し、仕事を受けることにしました。

仕事はいわゆるテープ起こしです(今はテープではなくMP3などの音声ファイルを使うことも多いようです)。講演会などで演者の発言を録音し、それを文章に書き出す作業です。昔一度やったことがありますが、これがえらく大変なんです。なにせその場にいたわけではないですから、話している内容についての基礎知識がありません。話している人がどんな人かもわからなければ、そもそもどんなテーマの講演なのかもわかりません。その他にも録音の質であるとか演者の声質だとかも重要な要素です。音声を聞いては文章を打ち込み、聞き直しては文章を直す。これを延々と繰り返します。だいたい1時間の作業でテープ10分ぶん進めば私にとっては上出来です。たった1時間の講演を書き出すのに6時間以上もかかる過酷な仕事なのです。

そんなこんなで、実はこのスタッフノートを更新している時間もあまりありません。なにせ締め切りはもうそこまで迫ってきています。・・・さて、作業にもどるとしよう。

2005-01-30

静寂の森を歩く

きのうは、旭川からの女性三名と香港からの男性一名の計四名の参加者を迎えて、「森コース」を歩いた。
 11時半頃に旭岳ビジターセンターを出発。登山口付近で積雪は約2メートル。気温が高く、天女が原までの登りではすこし汗ばむ方もいたようだ。「森の主」と呼んでいるアカエゾマツの巨木付近から深雪の中へ入る。きのうつけたトレースの上にも新雪が積もり、深い所では股下くらいまで埋まる。きのうトレースをつけておいたのはやはり大正解だった。出発から一時間半くらいで「お化けダケカンバ」に到着しお昼ご飯。出発時に降っていた雪が止み、美しい深雪の中でのランチタイムになる。
 昼食の後は、スッポリと雪に覆われて水流が見えない二見側に沿って下る。途中でエゾクロテンの足跡を発見。木から木に飛び移ったり、ときには大きくジャンプして雪面に飛び込んだりと、足跡を追いながらクロテンの行動を想像するのも楽しい。
 一時間ほどで「ワサビ山」に到着。二見側の谷を隔てて対岸に広がるアカエゾマツの広大な森が見える。少し風が強くなってきたのか、木の枝に積もった雪が吹き飛ばされて、雪が降っていないのにまるで吹雪のようだ。体が冷えないうちに出発する。
 ここからワサビ沼までの間はずっと下り斜面なので、先頭の足跡を追うのではなく、新雪の上を歩いて深雪ラッセルを味わっていただいた。途中でスノーシューが外れ、深雪のなかで"行方不明"になって、しばらく捜すというハプニングもあったが、運良く見つかり、最後は急斜面を滑り落ちるようにワサビ沼に到着。
 参加者の方々には深雪をじゅうぶん堪能していただけたようだった。

ながいながーい名前の会議

会議資料として配られた「整備技術指針(案)」では、登山道整備の方針と工法についてかなり詳細な議論がされています。
簡単に言うと、
・安全性を確保しつつ景観維持と植生の保全とを鼎立させる方針の下
・全登山道を「登山道保全修復カルテ」を用いて診断し、補修箇所に優先順位をつけ
・補修箇所を10タイプに分けそれぞれに応じた適切な工法を用いる
のだそうです。

用いる工法は国内外の技術を総動員しているようですが、なかでも注目すべきは石組みによる水流の誘導でしょうか。自然石を用いて水の流れをコントロールすることで、景観を維持しつつ登山道の侵食を防ぎかつ利用者の歩きやすさにも配慮できるという三方一両得。越前守も真っ青な技術です。

方針・工法についてはおおかたの納得が得られる結果となりましたが、いったい「誰が」・「どのように」登山道整備を行うのかという問題が残されました。
・地元の担い手に技術を伝えるにはどうすればいいのか。
・育った人材が流出しないようにできるのか。
・さらに、それそれの担い手グループの活動をどうコントロールするのか。
ここが解決されなければ、いくら良い方針も、どんなに素晴らしい工法も単なるお題目に終わってしまいます。この点の解決には、やはりある程度の予算が必要です。環境省の本気度が試されているといってもいいでしょう。

そして同時に、われわれ地元の人間の覚悟も試されているのではないでしょうか。従来の公共事業型大規模工事から抜けだし、きめ細かな登山道補修を目指すなら、担い手は地元の人間以外に考えられません。私たちは、大雪山を「われわれの国立公園」と考え主体的に行動することができるのでしょうか。
日々の業務に追われるだけではなく、視野を大きく持ち将来を見据えなければならないと、思いを新たにしました。

2005-01-29

大雪山国立公園における登山道整備技術指針策定検討会

という長ーい長ーい名称の会議に再び参加し傍聴してきました。

この会議は今回で通算三回目であり、これが最後となるそうです。つまり今日の討議の結果が最終的な結論となるわけで、今後の大雪山に大きな影響を及ぼすものとなる可能性もあるのです。これは一言も聞き逃せません。

出席者もそうそうたる顔ぶれがそろっていました。座長は北大の渡辺悌二先生。国立公園管理全般に詳しく、特に登山道侵食の調査を大雪山で長年行っています。委員にガイドの横須賀さん、北大の工藤岳先生、層雲峡観光協会の佐藤さん、西日本環境科学研究所の福留さんとこれまた有名どころがそろっています。その他の参加者も環境省・道庁・支庁・道有林などの行政から、北海道新聞旭川支社の記者さんまで、さまざまな立場の方々がいました。おっと、忘れちゃいけない、我らが東川町を代表して産業振興課から課長補佐が来ていました。市町村レベルからの出席は東川だけだったので、ちょっとほこらしい気持ちです。そして、これらの出席者の方々に混ざり、数少ないオブザーバーの一人として、ぽつーんと私がいたわけです。

会議の内容も興味深いものでしたが、それについてはまた明日。日を改めて詳しくご報告しますね。

2005-01-28

雪の中から鳥がっ‥‥!

 札幌では大雪らしいが、旭岳周辺では一月に入ってから小雪傾向が続いていた。ところがここへ来てようやく少し積もり、スキーやスノーボードの愛好者を安心させている。とはいえ、あまり積もりすぎるとラッセルが大変なので、明日のツアーの下見を兼ねて山麓の積雪量を確認しに旭岳温泉まで行く。
 例によって天女が原から深雪の森に分け入る。深い所で股下くらいの積雪だ。放っておいて明日まで雪が降り積もったら、腰までのラッセルになったかもしれない。今日のうちに"雪踏み"をしといて大正解と言えるだろう。
 歩き始めて一時間半くらい経った頃、とつぜん目の前の雪の中からハトくらいの大きさの鳥が飛び立った。エゾライチョウだ。ご本人がいなくなった後の穴を見てみると、どう見ても雪の中に潜っていたようにしか見えない。ひょとして雪の中で寝ていたのだろうか?フシギに思いながらさらに進むと、こんどは合計四羽のエゾライチョウが次々と雪の中から飛びったった。結婚式のハトもビックリのマジックショーだ。
 ライチョウたちが飛びったった後の穴を見てみるとやはり雪の中に潜っていたようだ。空気を含みやすい新雪は"断熱材"として作用するので、外気がマイナス20℃以下になっても、雪の中は零度以下には下がりにくい。つまり雪の断熱作用を利用してライチョウたちは暖をとっていたのだと考えられる。なんて賢いのだろう!自然の摂理のなんて巧みなことか!こういうときは素直に神(カムイ)に感謝したくなる。
 そういえばアイヌ民族のチセは、雪にスッポリと埋もれる(つまり雪を断熱材として利用する)ことで直接外気と触れることを避け、冬でも暖かかったという話を聞いたことがある。ライチョウもヒトも昔からの知恵で巧みに自然界を生き抜いてきたのだ。
 それに比べていま我々がやっていることはなんなのだろう。屋根に積もった雪はすべて下に落とし捨て、その替わりに科学物質と膨大なエネルギーを費やして作った断熱材を家のまわりに張り巡らす。暖をとるために家の裏山の枯れ枝を燃やすのでなく、アラビア半島の地中に埋まっていた油を何千キロも離れた家まで運ぶ。ストーブはすべて電子制御なので、地震で数日停電したら凍死である。
 ライチョウとヒト、どっちがお利口か。答えは言わずもがなだろう。

2005-01-27

書き込みは計画的に

今日、東川から札幌へと移動する道すがら、ものすごい大雪に遭遇しました。

深川で路面が出ていたので、「これならあっという間に到着だ」などと気楽に構えていたんですが、国道275号に入り、浦臼あたりで雪が舞いはじめ、どんどんと降りが激しくなっていき、気がつけば月形に入る頃にはすっかり視界が効かなくなっていました。

こんなですよ。
おおぶりの雪がフロントガラスの向こう側を縦横無尽に舞い飛んでいます。すぐ前を走っているトラックの後ろ姿が、時にちらりとも見えなくなります(あ、この写真の中にもトラックが写ってるんですけど、わかりますか?)。どれだけまわりが見えないかというと、車速を時速20kmに落としても、まだ不安が残るほどなんです。こんなに緊張して運転したのは久しぶりで、ぐったりと疲れ果ててしまいました。

冬は冬らしく、どかーっと雪が降る方がいい。なんてことをつい先日書いたばかりですが(1月23日の記事)、ここに謹んで前言を撤回させていただきます。失言であり、かつ放言でもあり、さらに言うなら暴言であったかもしれません。
訂正 → 冬は冬らしく 適度に 雪が降ってほしいものです。

それにしても雪というのはきまぐれなやつです。
月形でイヤと言うほど降っていたのが、隣町の当別ではこれ(↓)なんですから。


2005-01-26

♪お昼休みはうきうきスノーシューイング(字余り)

ツアーや下見で山に行かない日は家で事務仕事をしていますが、一日中机にかじりついているとどうしても効率が落ちてしまいます。そこで、昼休みに気分転換がてらスノーシューをすることにしました。家の近くにキャンモアというスキー場がありますが、その裏の林が目的地です。

作業が一段落した11時頃家を出て、2時間ほど林の中を歩き回ります。夏には入れない林を縫って歩いたり、山裾から山頂まで全部直登で行ったり。動物の足跡をどこまでも追っていくのも冬ならでは。ほんの小さな山なのですが、何度歩いても新しい楽しさがあります。時にはこんな出会いも。


雪の中から飛び出してきたエゾライチョウ


歩いた後は頭もすっきり。午後の仕事も集中できます。できるはず。できるといいなあ。できてるかなあ?

歩いていける距離に山があり、昼休みにスノーシューができる。こんな環境で仕事ができるというのは、本当に恵まれたことなんでしょうね。

2005-01-25

時には道を外さない

スノーシューは道を外す道具です。まだ誰も踏んでいないフカフカの深雪を歩くためのものです。ふだん「冬こそ道を外れよう」と言っている私たちですが、今日はなんと、道を外さずにお行儀良くスキーコースの脇を歩いてきました。

今日の目的地は富良野西岳。登り時間短縮のため、すぐ隣にある富良野スキー場のゴンドラを利用することにしました。そうすれば、あとはほとんど水平移動で済みます。でも、あーこりゃ楽だ、と思ったのもつかの間。ゴンドラを降りスノーシューで歩き始めた瞬間、パトロールの人がすっ飛んできました。
「下から歩いてきたんですか?」
どうしてこんなことを聞かれるのか理解するのに時間がかかりましたが、つまりゴンドラを利用したか否かを知りたかったのでしょう。ゴンドラを利用していればスキー場のお客様、していなければ無関係の登山者ということなんだと思います。私たちが万一遭難した場合、お客様かどうかがスキー場の管理責任の有無に直接関わってくるに違いありません。
今日は天気も良く風も強くはなかったので、ぜひ富良野西岳の山頂まで行きたかったのですが、スキー場に迷惑をかけるわけにはいきません。あきらめてスキーコースの脇を歩くことにしました。
パトロールの方に安心してほしいので、証拠写真。


いつも行く旭岳もスキー場ではありますが、基本はあくまでも「山」です。ロープウェイを降りた後、山頂へ向かおうが森を下ろうが自己責任が原則。その環境に慣れてしまっていたため、富良野のような管理の行き届いた普通のスキー場がどういうものか、すっかり忘れていました。

スノーシューでスキーコースを歩くのはいまいちである。そう気づいた冬の昼下がりでした。やっぱり道は外れるためにあるんですよ。

2005-01-24

DVDを、見てください

ここでも何度かご紹介したオリジナルDVDですが、HPでも案内が始まり、ぼちぼちとご注文をいただけるようになってきました。ありがとうございます。

とはいえ、表紙の写真や章立てだけでは詳しい内容はわかりません。
そこで、今日はDVD第2巻「永久凍土と周氷河地形」のコマーシャルをば。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓

この風景の中に永久凍土が隠れています。いったい永久凍土はどこにあるのでしょうか?実は、地形を見ると一目瞭然なのです。
黒岳山頂からお鉢平方面を望む

大きな大きな六角形の一部が地面に隠れています。これは、そこに永久凍土がある証拠。言われなければわからないこの模様。新たな知識を得ることで、いままで何となく通り過ぎていた風景が違う意味を持って目の前に現れます。
雲の平の地表1

割目は続くよどこまでも。これも六角形の一部で、当然永久凍土の証拠なんです。そして、そこに生きる植物は大雪山がツンドラの飛び地であることを雄弁に物語ります。
雲の平の地表2

大雪山は、アラスカ並の厳しい環境にさらされるため、高山帯には永久凍土が存在し、その地表はさまざまな周氷河地形によって飾られるといいます。
でも、言葉自体は聞いたことがあっても、永久凍土とか周氷河地形のことは意外と知られていません。それに、本などで勉強した人でも、あの場所でみたあの地形が本当に周氷河地形なのかどうかを自分で判断するのは至難の業です。
だから、このDVDの出番です。
大雪山で実際の地形を見ながらのレクチャーで、いままでの疑問がぜーんぶ氷解しちゃいます。講師の澤田さんの語り口も絶品。難解な現象を簡単な言葉でわかりやすく説明してくれます。

このDVDを見れば、あなたの大好きな大雪山のことをもっともっと理解できますよ。

2005-01-23

恒例、二枚の写真

何気なく写真の整理をしていて、面白い2枚を発見しました。
両方とも旭岳のスキーコースです。同じ雪尺が写っていますね。

 2005年1月10日 2005年1月21日

よく見てみると、積雪深は1月10日が2m80。21日が2m40。差し引き40cmも減っています。エゾマツもすっかり黒々として、なんだかあまり冬の風景には見えません。

 しばらく雪降ってないなー。
 毎日天気いいなー。
 おまけにあったかいなー。

などと、脳天気に考えていましたが、こういう風に結果にあらわれるんですね。

東川から旭岳に向かう間に、志比内という集落があります。例の「最後のガソリンスタンド」のところです。そこでの計測だと、この12日間の降水量は4mmだったそうです。降水が記録された日は3日。うち13日から19日までの一週間は降水なし。1月の一週間連続降水なしは、志比内ではここ10年記録されてません。ほんと、記録的に降ってないんですね、雪。

今日も家の近くの森を歩いてきましたが、場所によっては地面が見えてしまっているんです。まるで春の雪解けのように。間違って福寿草でも顔を出しそうなくらいで。大雪になるとそれはそれで大変なのですが、いっちょどかーっと降ってみやがれ、ってな気分にもなります。 冬は冬らしく!

2005-01-22

そういえば・・・

先週、とある件で北海道新聞の取材を受けました。掲載は「来週末くらい」とのお話だったのですが、もうその「来週末」になりました。今日は土曜日ですから。

取材では、報道部の部屋の中で写真まで撮られて、すっかりモデル気分。「写真写りはどうかしら?」と、ドキドキ乙女ちっくに掲載を待つ日々です。

ところが。
非常に残念なことに、掲載の有無を確かめる術がないんです。なぜなら、道新をとっていないから。

そんなわけで、私の写真を紙上でご覧になったかたは、どうかご一報を。可愛く写ってたよ、と一声かけてください。うふ。

2005-01-21

今日の旭岳


ここ数日好天続きでしたが、そんな日に限って山には行けないものです。家で仕事をしながら、たまに外に出ては山を見上げてため息をついていました。でも、今日はようやく青空の下の旭岳と再会することができました。ほっ。

しばらく降雪がなかったようで、風にさらされた雪面はすっかり堅くしまり、すいすいと雪上を歩けます。
降った雪が、飛ばされあるいは吹きだまり、風に固められかつ削られ、そうしてできた模様が陰影を作り、雪面に様々な表情を見せています。そしてその後におわす旭岳。いつ見ても何度見てもいい山です。

12時過ぎまで青空が広がっていたため、このまま夕方になれば早くもシーズン三度目の「夕映えの旭岳」になるかと期待したのですが、直後にガスがかかり雪が降り出しました。さすがにそうはうまくいかないようです。

明日はどんな旭岳が待っててくれるかな?

2005-01-20

あなろぐ時間

 昨日撮った写真を現像に出すために旭川ヘ行く。ちかくに写真屋さんはいくつもあるのだが、もう十年ちかく、花咲町にある光画堂へ通っている。もともとは買い物公園の六条にお店があったのだが、いまは町中からすこし離れた閑静な住宅街にギャラリーを兼ねてお店を構えている。
 デジカメ全盛の今どきフィルムカメラしか持っていないのは時代遅れだといわれるが、アナログの良さは時間を楽しむことができる趣味人にしか味わえない。撮った瞬間は映っているかどうかさえアヤシいし、現像のためにわざわざ写真屋さんへ足を運び、さらに出来上がりを取りにいくというのだから、手間はデジカメの数倍だ。
 しかし現像が上がってくるまでのワクワク感は、取った瞬間に結果がわかるデジカメにはないものだし、思い通りの結果にならなかったときに、どうしたらうまく撮れるのかを写真屋さんに聞くという楽しみもある。それが上達につながる。
 ご主人には失礼だが、忙しいことがあまりなさそうなので、行くたびにお茶をだしてもらい、一時間ほどカメラや写真の話をして帰ることが多い。ショーケースに旧ソ連製のアヤシいカメラなんかが並んでいるとつい手に取ってみたくなり、滞在時間はさらに延びる。下手をすると、現像を出しにいっただけなのに気がつくと半日仕事だったりする。だけどこれが無駄な時間の過ごし方だとはまったく思わない。好きなことのためにゆっくり時間を割けるのだから幸せなのだ。
 考えてみると、これは我々の仕事でも同じことだ。時間内にコースを歩きさえすればいいというわけではない。時間の許す限りゆったりと自然の中でお客さんと語らうことが大切なのだ。たんなるコースのナビゲーターであったり、知識だけを伝えればいいというのなら、ロボットにもできる。量販店やネットでものを買うような味気ない思いをお客さんにさせるような仕事をしていたのではそのうち閉店ということにもなりかねない。心してかからねば……。
 ゆったりと時間を過ごしたあとは東川へ取って返し、進化台にある「アグリテック」ヘ行く。担当の中田さんと「今後の協力関係について」という話題で二時間ほどお話をする。
 趣味とビジネスをしっかり使い分けるのもプロの腕、という一日だった。

情報格差を是正したいの

大雪山国立公園というのは学問に携わる方々にとってとても魅力的なフィールドであるようです。毎年、多くの研究者や学生さんが大雪山で調査をし、その結果を基に論文や報告書をまとめています。これらの成果は学術雑誌に載ったり、行政に提出されます。また、時折、研究者を招いた講演会が行われます。

でも、地元の人にとって、そういった成果は縁遠いものです。
学術雑誌なんて、大学の図書館にでも行かないと見ることができない。だいたいどれに載ってるものやら見当も付かない。報告書なんて、どうやって見られるのかわからない。そもそも見られるものなのかすら怪しい。講演会なんて、なぜか地元をすっとばして札幌で開催される始末。
大雪山の麓に住み、大雪山に関心を持っている人が、大雪山で行われた調査結果を知る機会はほとんどありません。考えてみるとひどい話ですよね。

そんな情報格差を是正すべく、山楽舎BEARは、「地元の人間の、地元の人間による、地元の人間のための講演会」を企画しました。今回は、登山道侵食の研究で著名な北海道大学の渡辺悌二先生にご協力いただいています。教え子の大学院生も来てくれます。いままさに取り組んでいる修士論文の内容を発表してくれるそうです。

今後もこういった講演会を定期的に行っていこうと思っています。内容のリクエスト・呼んで欲しい先生などのご要望をどしどしお寄せくださいね。


--講演会詳細--

講演会「大雪山国立公園における登山道侵食」

第1部  17:30 ~ 18:30
 講演者:太田健一氏 (北海道大学大学院地球環境科学研究科 修士課程)
 演 題:デジタル写真測量による登山道の土壌侵食把握と侵食軽減のための新たな方策

第2部  18:45 ~ 20:45
 講演者:渡辺悌二氏 (北海道大学大学院地球環境科学研究科 助教授)
 演 題:登山道侵食の基礎知識と大雪山国立公園における現状

日 時:平成17年2月24日(木)17:30 ~ 20:45
場 所:道草館 二階第一会議室
     上川郡東川町東町1-1-15(道道旭川旭岳温泉線沿い)
     0166-68-4777
参加費:300円

主 催:山楽舎BEAR
参加申込・お問い合せ:
 電話・FAX:0166-82-5845
 携帯電話  :090-2054-3334
 メール   :mttomt@yahoo.co.jp

2005-01-19

時代の最先端


冬のさなかに使っていいのかわかりませんが、「小春日和」な一日でした。天気も良く、大雪山も愛別岳から富良野岳まで、こんなにきれいに見えていました。

この写真はフォトショップというソフトを使って5枚の写真を合成したものなんですが、合成作業はほとんど自動でやってくれるんですね。自分ですることといえば、使う写真を選ぶだけ。あとは勝手に写真同士を重ね合わせてうまいこと一枚の写真にしてしまうんですから、最近の技術には舌を巻いてしまいます。

こういう写真を作るには、PCの画面を凝視してマウスでちまちまと写真を組み合わせなければならないんだろうと思っていました。面倒そうで、つい二の足を踏んでいる間に、ずいぶんと時代に取り残されていたようです。

あ、でも、このソフトは2001年の版だから、この合成機能も最新技術というほどでもないんですね。2001年にも置いて行かれるほど時代に取り残されてたなんて・・・。

リベンジ

 先日「シーズンに三回」しかないきれいな夕映えの写真を撮り損なって以来、いつ"その時"が来てもいいように、ザックのなかにはNikonF3とフィルム三本を常時備え、日々天気図のチェックを怠らない日々を過ごして来た。
 きれいな夕映えが見れる条件はかなり厳しい。
1.日没前30分くらいから日の入りまでの時間帯に、被写体になる山が見えていること。
2.西方向に高い雲がなく、じゅうぶん赤い太陽光線が被写体にあたること。
3.そのときその場所に撮影者がいること。
ビジターセンターN氏のデータによると、1と2が満たされるのがだいたいシーズンに三回くらいだという。さらに3を満たすたのは、普通の生活をしている人には至難の業だ。
 前回この条件をすべて満たし、きれいな夕映えの写真を撮ったのが1996年の12月だった。それ以来「あの夢をもう一度」と願いつつも今日まで成就されることはなかった。というわけで、あと一歩のところでベストショットを逃した前回の失敗は、悔やんでも悔やみきれない痛恨の一瞬だったのだ。
 あの日以来精進に精進を重ねた甲斐あってか、リベンジの時は意外に早くやって来た。捲土重来、千載一遇、一期一会のチャンスを逃してなるものかと、押っ取り刀で旭岳へ向かった。ビジターセンターで天気図の最終確認を行ってから、テレマークの板にシールをつけて登りはじめる。
 二時間ほどで姿見駅まで登り、昼ご飯を食べていると、なんてこった、また曇ってきた。ここで諦めて帰ると前回と同じ結果になりそうだったので、しばらく雲行きを見ていると、午後二時頃から雲が切れ、目の前に真っ白な旭岳が姿を現した。
 勇んで外に飛び出す。三時頃から山の色は徐々に黄色くなり、やがてほのかにオレンジ色を帯びてくる。期待に胸は張り裂けんばかりだったが、四時ちかくなって、あろうことか西の空にガスがかかりはじめ、太陽が見え隠れし始めた。夕日が強くあった瞬間に何度かシャッターを押すが、最高に赤くなる一歩手前でついに太陽は雲に隠れた。
 残念!だが、ほんのりと色づいた旭岳は映っているはず。最高の瞬間はまたいつか撮れると信じて、暗くなったスキーコースを下った。

2005-01-18

チラシの中心でBEARと叫ぶ

札幌市内某所某アウトドアショップ。広い告知スペースに所狭しとチラシが張られ、または置かれています。ほとんどが同業であるガイド会社のものです。われわれ山楽舎BEARのチラシも写真に映っているんですが、わかります?

これ(↓)どこにあるでしょうか?

チラシを作った私たちでさえよくわからないほどですから、一見して見つけ出すのはまず不可能だと思います。ということは、ここを通りがかったお客さんが、私たちのチラシに目をとめて興味を抱くことなどは望むべくもないわけです。まさに大海の一滴・九牛の一毛といったところで、ただチラシを置いてきても、他のチラシの海に飲みこまれ埋没してしまうということを強く思い知らされました。

でも、せっかくわざわざ札幌まで行くのですから、注目の集まる宣伝効果の高いチラシを置きたいものです。それには、
 ・遠くからの視認性
 ・人目を引く“売り言葉”
 ・十分なスペース
などの要素をクリアする必要があるでしょう。

私たちは考えました。そして、すばらしいアイディアに到達したのです。ふふふ。新しいチラシはこれから作りますので、詳細はまたいずれ。

ちなみに先ほどの問題、答えはこちら。


2005-01-17

To be continued.

ついさっき帰宅しました・・・。こんな夜遊びをする不束者でごめんなさい。時間が時間なので今日は予告編のみで。

------------------------------
いよいよ札幌に進出した山樂舎BEAR。意気揚々と宣伝チラシを配る彼らの前に立ちはだかるものとは?そして彼らが営業の先に見たものは!?
次回、「チラシの中心でBEARと叫ぶ
お楽しみに!

2005-01-15

スノーシューのたたき売り?


いえ、別にたたき売っている訳ではありません。今日行われたスノーシュー説明会の一コマです。 後ろにずらりとスノーシューが並んでいますが、それぞれの特徴や値段を解説しているところです。

今回札幌で説明会を開催するにあたり、スノーシュー5台・靴5足を筆頭に、いろいろな道具を持って来ました。スノーシューやら靴やらがぎっしりつまった車のトランクは、今日は札幌明日は旭川とスノーシューを売り歩いている行商人のようです。

この沢山の道具、ほとんどのものがわれわれの私物で、仕事の時に実際に使っているものばかり。参加された方の参考になると思い、商売道具一式(二人分だから二式?)を持ってきたわけです。でも、ふと考えてみると、これはすごく恐ろしいことです。もし万一、この二式を無くしてしまうと、今年の冬は二人そろってまともに仕事ができなくなってしまうんですから。車ごと持って行かれた日には、もう立ち直れません。無事に東川まで持って帰らなくては・・・。いかん、なんか緊張してきた・・・。

2005-01-14

無事到着

19時に旭川を出て、22時に札幌に到着。ちょうど3時間でした。
札幌と旭川はたかだか3時間・130kmくらいしか離れていないのですが、その短い間にも道路状況は様々に変わります。今日は下のような感じでした。

  東川深川 : 雪が雪のまま道路上にある。
  深川滝川 : 基本的に凍っている。所々路面が出ている。
  滝川月形 : 基本的に路面が出ている。所々凍っている。
  月形札幌 : 雪も氷もなし。夏のように走れる。

単純に雪の量だけで決まっているのではないような気がします。
月形は豪雪地帯で有名な岩見沢のそばですし。

で、思わずこんなグラフを作っちゃいました。


降水量が一番多いのは月形なのに、月形から道路は走りやすくなる・・・。
やはり、雪の量とはあまり関係ないようです。
このグラフを見ると、気温が効いているような感じですね。
平均気温が高ければ道路も走りやすくなる。
当たり前と言えば当たり前か。

それにしても、緯度が上がるに従ってこんなにきれいに気温が低くなるとは。東川ってやっぱり寒い場所なんですね。

夕日に染まる旭岳

 元旦以来の朝からの快晴。午前中は明日の札幌での説明会用のチラシの印刷をする。
 どうやら夕方まで天気が保ちそうなので、夕焼けの写真を撮りに旭岳へ向かう。ところが山へ近づくにつれて雲が多くなり、旭岳温泉に着くころには旭岳が見えなくなる。ビジターセンター の事務室で様子をうかがっているうちにさらに雲が増える。きょうはダメだと半ば諦め、職員の二人と「旭岳がきれいなピンク色に染まるのはシーズンに何回くらいか」という話をする。職員N氏のデータによれば「シーズンに三回くらい」だという。つまりほとんどないということだ。
 ところが話をしているうちに、雲が切れて山が見えてきた。うっすらとピンクになっている。あわててカメラを取り出すが、撮影ポイントに行く時間はもうない。しかたなくキャンプ場の入り口付近に車を付け、ふんわりと積もった雪をかき分けてクロカンコースをすこし歩いて山がみえる位置まで走った。ピンクに染まっていたアカエゾマツの森はすでに時遅く、急激に色あせていく。かろうじて山頂付近だけがきれいな色に染まっているので、何枚かシャッターを押した。備えあればなんとか、というが、備えはあっても雲行きを読めないために「シーズンに三回」のチャンスをみすみす逃してしまった。
 ガッカリして帰ってきたら、「チェルノブイリ子ども基金 」のカレンダーが届いていた。年前に注文し忘れ、新年になってから注文したので、だいぶ遅くなってしまった。原発事故からもう18年になるというが、いまだに原発が地上から消える気配はない。

いざ、札幌

明日、開催する「スノーシュー事前説明会」のため、これから札幌に向かって出発します。本当は明るいうちに移動したかったのですが、18時に旭川で機材を借りなければならず、こんな時間の出発になってしまいました。

夏だと、高速を使わずに下道で行っても、旭川-札幌間2時間半くらいです。ここ最近は国道12号も275号も路面がでていることが多く、夏と比べてもそう時間はかからなかったのですが、条件が悪いと4時間以上は平気でかかります。今日は久々に一日暖かかく、ストーブを消しても陽光で部屋中ぽかぽかしていたほどでしたが、道路状況はどうなっているのでしょう?まあ、時間はかかってもしかたがありません。なんといっても安全第一。歌でも歌いながらのんびり行くことにします。

札幌に行くついでに、チラシ配りの営業もしてくる予定です。山道具屋さんやスポーツショップなどに大量に置かれているチラシ。それをおかせてもらいに行くのです。この前のスノーシュープログラムに参加してくれたお客さんは、お店においてあるチラシを見て来てくれたそうで、意外に効果があるようです。地道な営業はかかせません。

あ、いけない。そろそろ出発しなきゃ。

2005-01-13

祝!1ヶ月!

気が付けば、スタッフノートを始めてから1ヶ月が経っていました。今日で1ヶ月と2日という半端な日ですが、せっかくなので祝っておきましょう。
おめでとう1ヶ月!

おめでとう1ヶ月と自分で言ったから、毎月11日はスタッフノート記念日。

最初のうちは、「なにか出来事があったときに書けばいい」くらいに考えていて、実際2~3日に一度の更新頻度でした。それが、今年に入ってからは毎日更新しています。我ながらたいしたものです。

最近すっかり更新癖がついたのには理由があります。このページの右下にひっそりと並んでいる数字。ご存じアクセスカウンタ。設置以降何人がここに来てくれたかを示しています。これを書いている時点で178。このカウンタを年末に設置してみたところ、数字が毎日増えていくんですよ。つまり、ここを読んでくれている人がいるということです。

もちろん、アクセスカウンタを置く前も読者の存在は念頭にありましたが、それは漠然としたイメージに過ぎませんでした。しかし、ひとたび具体的な数字を伴うと、急に現実感が増してきます。ひとつカウンタが回るたびに、ひとりが確実にここを読んでくれている・・・。こんなにうれしいことはない・・・。これが更新せずにいられるでしょうか、いやいられない!まあ、それもイメージであることには変わりはないのですが、想像上の読者は段違いの存在感を持つことになります。

そして、いったん読者のイメージが具体化されると、もう半端な更新はできません。せっかく見に来てくれた人に、前回と同じ文章を読ませるわけにはいきませんから。誰が言ったか知らないけれど、「ネット上の文章は鮮度が命」(本当は、いま思いついた言葉なんですが、けっこう正しいような気がします)。内容はともかくとして、せめて毎回新しい文章を提供していきたいと思っています。

でも、このアクセスカウンタというのも善し悪しなんです。いつもより訪れる人が少ない日も当然あるわけですが、そんな日は妙にもの悲しくなってしまうんです・・・。ただでさえ寒い部屋が一段と寒く感じます・・・。

2005-01-12

告知「スノーシュープログラム事前説明会 in札幌」

札幌のみなさん、こんにちは。

今週の土曜日、1月15日に札幌市にて、「スノーシュープログラム事前説明会」を行います。
題して、『「スノーシューはじめの一歩」を踏みだすまえに、知っておきたいこと』。
今回の説明会は、「スノーシューって名前は聞いたことあるんだけど…」という方や、「始めてみたいんだけど、どんな道具が必要なのかわからない」という方を対象として行われます。

まず、第一部として、スノーシューならではの楽しさや、スノーシューだからこそ見られる風景などを、美しい写真を用いてご紹介します。北海道の尾根であり日本最大の国立公園である大雪山の雄大な自然をご堪能ください。

次に第二部では、スノーシューに必要な装備や服装について説明します。一口にスノーシューといってもいろいろなメーカーがあり様々なモデルが出ています。いきなり買おうとしても迷うばかりです。また、どんな服装にすればいいのかも悩みどころです。そういった疑問に、私たちガイドが普段使っている道具を実際に見ていただきながら、お答えします。ガイドの私物満載で、見逃せませんよ。

参加費無料でとってもお得。
お時間のある方はぜひご参加ください。

詳細は以下のようになっています。


日時:1月15日(土)
場所:かでる2.7 110会議室  札幌市中央区北2条西7丁目
時間:19:00~20:30
内容:1.スライドを使ってプログラムの内容や冬の旭岳の自然を紹介。
   2.装備や服装について、本物の道具とモデルを使った解説。
   3.なんでも質問コーナー

参加費:無料
定員: 36名
問い合せ・申し込み:山樂舎BEAR
電話・ファクス  0166-82-5803
携帯(担当 土栄) 090-2054-3334
メール   hirosis@mac.com

2005-01-11

デスクワークは楽し

ガイドを仕事にしているというと、さぞ毎日山ばかりに入ってるのだろうと思われるかもしれません。たしかに7月の中旬から8月初旬くらいまでの時期だと、本当に毎日山を歩いています。でも、それ以外の時期は部屋にこもってデスクワークに精を出していることも多いんです。
特にこの時期はその最たるもの。
夏の間、忙しくて後回しにしていた事務作業が山のようにたまっていて、さすがに次の夏に持ち越すのもためらわれて、まあ結局やるしかないわけです。

われわれの場合、仕事と言っても普通の企業のように拘束時間なんかはありません。あるのはするべき作業だけ。ということは、その作業が終わらない限り何時になっても仕事は終わらないわけです。逆に言うと、拘束時間がないのですから、何時まで仕事をしようが残業にはなりません。「残業」って何?ってなもんです。

まあ、好きでやってる仕事ですから、一日中仕事をしていても苦ではありません。気分が乗っている時は、それこそおはようからおやすみまで仕事をしていることもあります。起きてすぐパソコンを開き、閉じたらあとは寝るだけ。さすがにそんな日は目がしぱしぱしますが、精神的には楽なものです。

で、するべき仕事というのは、誰かが与えてくれる訳ではありません。新しいアイディアを思いついてしまったら最後。待っていても誰もやってはくれないし、誰もやれと命令してくれないので、自分で自分にやらせるのです。やりたいことは簡単に思いつきますが、それをこなしていくのは大変なもの。かくして、やり残した仕事がどんどんたまっていく・・・。

自分で仕事を山のように作っていって、その仕事の山に追われる。自縄自縛のガイドライフ。ああ、なんて幸せなんだろう。

2005-01-10

心頭滅却したって、寒いものは寒い

だって、こんななんですよ(↓)、今日の旭岳。

気温マイナス20度で、風速が秒速14m、おまけに雪まで降っている。
次から次へと雪だか氷だかわからないものがぶつかってきて、もう色々なものが凍りつきます。まゆげ・まつげ・ひげは言うに及ばず。口からでる息がフェイスマスクを湿らせ、それが瞬時に氷になるといった具合。
視界は10mも無いくらいで、上下左右白一色の世界。
ただ風雪に耐えるのみの時間は、もしかすると座禅ってこんな感じ?と思わせます。苦行です。こんな天候が続くと、そのうち悟りを開くに違いありません。

この天候、どうも尋常ではなかったようで、つららにもエビのしっぽができていました。代表の佐久間ですら驚くこの現象。最早、精神論で太刀打ちできるレベルではありません。昨日の今日ですが、はっきり言っちゃいましょう。心頭滅却したって、寒・い・ん・で・す。

2005-01-09

心頭滅却すれば、寒くない

豊平川の水を産湯に使い窓からテレビ塔を見て育った生粋の道産子ですから、冬の寒さに弱いのは理の当然。でも、いいんです。外がどれだけ寒くたって、家に入ればストーブがガンガン効いていますから。靴下なんかはかなくていいほど暖かで、アイスもビールもうまい!これが正しい北海道の冬ってもんです。

とは言うものの、昨今の灯油高。暖房費は低く抑えるにこしたことはありません。地球温暖化だってもはや他人事ではないのです。だからこの冬は、生まれて初めてストーブの設定温度を下げ、陽光の入る昼間は消しさえし、厚着で乗り切ることにしました。

まず、靴下をはく!はきまくる!
その上にフリースのテントシューズもはく!
昔、冬の外出用として買ったフリースジャケットを着る!(なんとゴアウィンドストッパー。何が悲しくて室内で防風着を着なきゃいかんの・・・)あ、いやいや、これですきま風も大丈夫!
それでも寒いからフリースのブランケットにくるまる!
それでも寒い時は念じる!寒くない。寒くなんかない。さむ・・・く・・・なんかな・・・い・・・

この冬を乗り切った時こそ、寒さに強く環境に配慮できる「超道産子」が生まれる瞬間なのです。
がんばれ、自分。

2005-01-08

ニクイあんちくしょう


山の中を歩くのが仕事なので、他の人より動物を見る機会は多いと思うのですが、どうして動物を写真に収めるのはあんなに難しいのでしょう?
いや、あっという間に現れてあっという間に消えていき、シャッターを切る間もないというのなら、あきらめもつくんです。でも大概は、そうではありません。

目の前結構近くに現れてしばらくうろうろするんですよ、彼らは。これはチャンスと思いカメラを取り出しファインダーをのぞいても、まだうろうろしてるんですよ、やつらは。使っているのはコンパクトなデジカメですから、あとはできるだけズームをきかせて半押しでピントを合わせてシャッターを押すだけ。そしてまさにシャッターを押そうとするその瞬間に逃げやがるんですよ、ニクイあんちくしょうどもは。それも毎度毎度。逃げないにしても、撮る瞬間に顔を伏せてしまったり、物陰に隠れてしまったり。なんなんでしょうか。

そんな中、今回の写真は比較的うまく撮れたほうです。写真に収まってくれてありがとう、コゲラちゃん。

2005-01-07

駆け下りろ、スノーシュー

深雪斜面を下るための道具といえば、普通はスキーが思い浮かびます。人によってはスノーボードかもしれません。でも実は、ある程度雪の積もっている急斜面はスノーシューの得意分野だってこと、知ってました?

スキーもボードも急斜面を下るにはそれなりの技量が必要ですが、スノーシューは単純です。ただ駆け下りるだけ。積もった雪がクッションになってくれるので、階段や登山道を下る時のように膝に負担はかかりません。一歩一歩、雪の綿の中に落ち込んで行く感じです。スピードのコントロールも楽々。次の一歩を踏み出さなければ進むことはないのですから。

そしてこれがめっぽう早い。スキーヤーやボーダーと一緒に冬山に遊びに行ったことがありますが、せいぜい同程度、だいたいスノーシューのほうが早い、という結果になりました。もちろんスキーヤーでもうまい人は早いに違いありません。それに、スノーシューで駆け下ると、やたらと息が切れます。あまり必死になるのも考え物です。まあ、山の中で競争すること自体が不粋の極みなのですが。

いずれににせよ、スノーシューが深雪急斜面を下るのに適していることは事実です。今日も旭岳スキー場からコース外の森に入っていき、急斜面を見つけては駆け下りてきました。さすがにお客さんと一緒の時にはできませんので、一人の時だけの秘密の楽しみなのです。誰にもないしょですよ?

  

写真(左):今日一番の斜面を上からのぞき込んだところ。
写真(右):駆け下った斜面を満足気に見上げる。


2005-01-06

好きです、大好きです、愛しています → カタログ

ただいま東川。今日札幌から帰ってきました。

短期間での移動はやはり大変なのですが、それなりに良いこともあります。たとえば、両方の街にある山道具屋さんに行けます。店によって微妙に取り扱い商品が違うので、道具好きとしてはたまりません。さらに、いろいろな山道具屋さんに行くといろいろなカタログが手に入ります。店によって置いてあるカタログの種類が微妙に違うので、カタログ好きにはたまりません。だから、山道具好きでかつカタログ好きな私にとって、山道具屋巡りほど楽しい娯楽はないのです。

二ヶ月ほど巡っていなかったので、あるわあるわ、新しいカタログが目白押しでした。カタログは春夏版(SS)と秋冬版(FW)の年二回発行されることが多いのですが、ちょうど2004-2005FWが出回る時期なのです。そんなこんなで戦利品は30冊ほど。カタログの重さで幸せがはかれます。おみくじで言うなら大吉ってところです。

家に帰ってきて、つらつらと眺めるのもまた楽しいもの。欲しい道具を全部買うことはできませんが、使っているところを想像するくらいならいくらでもできます。こんなザックを買ってどこか知らない山にいきたいなあ、とか。あんなテントを買って見知らぬ国でキャンプしたいなあ、とか。カタログを眺めるたびに、妄想がたくましくなっていくのです・・・

カタログはタダだし、妄想もタダ。お金のかからない最良の娯楽であることは論を待ちませんが(誰がなんと言おうと待ちません)、難点も一つあります。・・・毎回30冊ももらってくると、100冊や200冊はすぐ集まってしまうのです。さすがに5年も6年も前のものはある程度処分していますが、それでも今現在、小さめの段ボール箱に二箱分はたっぷりと。捨てるに捨てられないお気に入りもあるし・・・。将来は図書館にでもしようか?


2005-01-05

プロとして

一昔前まで専門家にしかできなかったことが、パソコンと周辺機器とちょっとしたやる気さえあれば誰にでもできるようになってきました。
身近なところでは年賀状。ほんの10年前なら印刷所に注文するのが当たり前だったように思います。それが今では、自分で作ったきれいな年賀状を送ってくる人が多くなってきました。
ほかにも名刺などいろいろなものが自分で作れます。現に私たちもオリジナルDVDを自分たちで制作しました。DVDなんてだいそれたものとても自分に作れる訳がない、と思っていたのですが、始めてみると意外と簡単でした。

素人がこれだけ簡単にいろいろなものを作れるようになると、その道のプロは存在意義を厳しく問われることになるのでしょう。たとえば、印刷所が作る年賀状は、家庭で作るものより明らかに上質であるか、もしくはそれ以外の付加価値が高くなければならないでしょう。名刺だってDVDだってそのほかのものだって同様です。
おそらく以前は、競争といえば業界内だけでするものだったはずです。ところが今は顧客となる一般人との競争もしなければならない。より良いものが提供できなければ、お客さんは自分でなんでも作ってしまうのですから、その競争は大変なものです。

そして、この話はわれわれガイドにとって決して他人事ではありません。夏の大雪山は一般の登山者が自分たちだけで行けない場所ではないからです。それでもお金を払ってツアーに参加してくれる方がいる。われわれはその対価を受けるに値するのか?その対価は正当なものなのか?いつも我が身を省みることを忘れずにいたいものです。

2005-01-04

180万都市の原始林

東川に居を構え大雪山で活動するのがわれわれ山楽舎BEARですが、今日は180万都市札幌におじゃましています。

今日行ってきたのは札幌市民の心のふるさと藻岩山。旭山記念公園から始まる登山道をほんの少し歩いてきました。

藻岩山は札幌市内にある標高531mのちょっとした山なんですが、ロープウェイはある、スキー場はある、山頂まで車道が続いている、おまけに山頂にレストハウスまである、と、これでもかというほど人工物に囲まれています。でもその反面(本当にその開発の反対側にも位置する)、天然記念物に指定されている原始林が残っています。これだけの規模の都市のただ中に原始林が残っているというのは、世界的に見ても珍しいそうです(※実際には限りなく原始林に近い天然林というのが正しいとのこと)。天然記念物といえば我々にとって大雪山がなじみ深いのですが、それよりもはるかに早い1921年に道内第一号の天然記念物に指定されたというのはちょっとした驚きです。

山頂へと続く登山道からはずれて尾根に出てみると、突然視界が開けました。原始林の向こうに都市のビル街。大雪山の自然の豊かさを再確認すると同時に、大雪山では見ることのないこんな風景がとても新鮮に感じられました。


原始林:いままで一度も伐採が行われたことがなく、人の手が一切入っていない森林。原生林ともいう。
天然林:伐採など人の手が入っているものの、苗木を植えたり種をまいたりすることなく、自然の力でできた森林。
だそうです。

2005-01-03

1月の雨

札幌は雨が降っています。

中学1年生の冬休みに、友達3人とスキーに出かけたことがあります。ちょうど今くらいの日にちだったはずです。それまで一度も行ったことのない、ちょっと遠くの町にあるスキー場まで出かけるということで、みんな気分が高揚していました。よく、遠足の前日の子供のよう、という表現が使われますが、まさにそれを体現していた感じです。
それだけ楽しみにしていたスキー小旅行だったのですが、当日なんと季節はずれの雨が降り出しました。スキー板の裏に雪がびっしりくっついて滑りが悪くなる。体はびっしょり濡れてしまう。一日リフト券を買ったはいいものの、午前中の早々に切り上げることにしました。
帰りのバスが出発するまで、トランプで時間をつぶしたことが鮮明に思い出されます。

どうしてこんな思い出話をしたかというと、つまり、1月の雨というのは記憶ではそれ以来のことなんです。もしかしたら、知らないうちに降っているのかもしれないし、単に忘れているだけなのかもしれません。でもやっぱり、こんな時期に雨に降られるとどうも調子が狂ってしまう。そんな現象であることは確かです。単純計算で15年に一度の椿事、ということになるのでしょうか。

明日は札幌近郊の低山にスノーシューツアーの下見に行きます(そのために東川から札幌に出てきました)。こんな天気の後では、雪の状態は良くないんだろうなあ。

2005-01-02

デジタル写真測量による登山道の土壌侵食把握と侵食軽減のための新たな方策~大雪山国立公園を事例として~

これ、後輩が執筆中の修士論文のタイトルです。
彼は、去年・今年と大雪山で登山道侵食のモニタリング調査を行っていました。
そして今まさに締め切りに追われている真っ最中なのです。

登山道侵食といえば、登山者が最も気になる問題の一つ。
雨が降るごとに、雪どけ水が流れるごとに、えぐれていく登山道を見るのは心が痛みます。
ひどいところでは人の背の高さよりもえぐれている場所もあるほど。
まして、その原因の一端を登山者が負っているとあればなおさらです。

白雲小屋付近の登山道侵食


侵食を防ぐにはどうすればいいのか?侵食してしまった場合はどう対処すればいいのか?
考えなければならないことは沢山ありますが、そのためには全山的・経年的な基礎データの蓄積が必要となります。
しかし残念ながら、大雪山でのデータ蓄積はさほど進んでいません。

この研究では、表大雪の登山道108地点で調査を行っているそうです。
これだけの規模で侵食を見るというのは今までになかったことで、まとまれば素晴らしいデータになるはず。
がんばってほしいものです。

ちなみに、山樂舎BEAR主催で登山道の勉強会を2月末に東川で行います。
講師として北大の渡辺悌二先生に来ていただきます。
せっかくなのでその場で後輩君にも修士論文の内容を発表してもらおうかと考えています。
面白そうな研究だと思われたかたは、続報を待っていてくださいね。

2005-01-01

2005年始動!‥‥せず。

 2005年1月1日午前9時。気温マイナス18℃。駐車場に24時間放置してあった車のエンジンキーを回す。最初こそ「キュルル」と音がしたが、その後はまったく反応しなくなる。近くに止まっている車の雪を落としている人に頼んで、ブースターケーブルを繋げるがセルモーターは回らなかった。諦めてJAFを呼ぶ。年始の挨拶をかねて毎年お雑煮をご馳走になっている民宿「ゆう」へは10時に行くと連絡してあったので、ケータイで状況を話し、遅れる旨を伝える。
 20分ほどでお兄さんがやってきていとも簡単にエンジンをかける。このバッテリーはもう寿命だそうですぐに取り替えたほうがいいと言う。とりあえず車に乗り東川方向へ走ると、白い衣をまとった旭岳がくっり青空に浮かび上がり、素晴らしい元日の朝である。
 11時ちょっと前に「ゆう」に到着。玄関へ入るなり、いきなり「おめでとうございます」の元気な挨拶を三姉妹プラスお客さんの女の子から受ける。元日からパワー全開のようだ。こちらはおもむろに「おとそ」をお猪口に一口飲み、おせちと雑煮をいただく。幸先悪いスタートだったが、ようやく人心地がついて正月気分になる。
 外に止めた車は、エンジンを切ると二度と始動しない可能性があるので、アイドリング状態。地球環境に厳しいこと甚だしいので、雑煮をいただくだけいただいて、すぐにバッテリーを買いに走る。旭川のオートバックスが元日から開店していたので購入するが、なんと二万円ちかい出費。「こいつぁー春から縁起がわるい」感じの一日になった。去年は酷い年だったが、ことしはどうなるのだろう?まさか旭岳噴火なんてことはないよね。

睦月晴れ

なんて言葉はきっとないんでしょうが、でもそう言いたくなるほど元日の東川は雲一つ無い快晴です。こんな天気にはここ久しくお目にかかっていません。思わずうれしくなり、車を走らせて写真撮影に行ってきました。


旭岳がきれいに見える場所を探して、東川のあちらをきょろきょろ、こちらをうろうろ。正月早々怪しい車をみかけた方、どうかご容赦ください。

で、上の写真。忠別ダムの展望所から撮ったものです。白一色に染まる表大雪の山々は、どこかしらおめでたい感じがしてお正月の雰囲気にぴったりきます。今年は初詣に行かないで、旭岳詣を代りにしちゃいます。今年も一年健康で楽しく仕事ができますように、ぱんぱん、と。お賽銭は入れてないけど、きっと大目に見てくれるはず。

みなさんも晴れた日に旭岳詣をしてはいかがですか?

仕事始め

2005年になりました。
みなさま、おめでとうございます。

ついさっき仕事納めしたばかりの気もしますが、さっそく仕事始めといきましょう。

では元日らしく今年の抱負など。

1)オリジナルツアーを質・量ともに充実させる。
最も力を注ぎたいのは、1~3月のスノーシューツアーと6月の残雪ツアー。スノーシューツアーは新コースをどんどん開拓する。残雪ツアーは昨年までほとんど行っていなかったので、こちらもコースの開拓にはげむ。どちらも週3~4日ツアーを行えるようにしたいものです。
また、リクエストの多い夏山山中泊縦走ツアーも実施したいですね。これは8月上旬くらいかな・・・

2)通信紙を季刊化する。
昨年創刊号を上梓しみなさんにお送りしましたが、今年は定期的な発行を目標とします。年4回、各季節が始まる前にお届けできればと思っています。連載も充実させたい・・・。
   
3)ガイドマップ・DVDなどを販売する。
見て楽しい・使って役立つ・おみやげにも最適という大雪山のオリジナルガイドマップを作れたらいいなあ。山楽舎BEARの総力を結集して、なんとか・・・。DVDに関しては、もう2タイトル作成済みです。昨年行った勉強会の模様を撮影・編集しました(詳しくはこちら)。今年はテーマを広げ、ゆくゆくは、大雪山のことならこのDVDシリーズを見れば完璧、と言われるようにしたいですね。

ほかにもまだあるような気がしますが。
まあ、それは追々付け加えていくということで。

それではみなさん、今年も一年、山楽舎BEARをよろしくお願いいたします。