2005-02-28

夢は大きく


「新聞に出たと聞いたが、旭川でしか記事が見られないのは断固おかしい!」という声が、全世界2000万のBEARファンから寄せられました。そんなわけで、遅くなりましたが2月18日北海道新聞朝刊(旭川・上川版)に掲載された記事をご紹介します。

新聞記事のスキャン画像をネットにアップすることは法的にみてどうなんでしょう?
一応法学部出身なんですが、さっぱりわかりません。似非法学士なもんで。

それはまあともかく。下の写真に小さく写っているのが旭川市長なんですから、破格の扱いであることがわかります。よっぽど記事がなかったんでしょうか?スペースが空いている時は、いつでも山楽舎BEARの記事を載せてくれてかまいませんよ?

道新に負けじと思ってかどうかは定かでありませんが、今日、読売新聞さんが取材にやってきました。DVDだけでなく、国立公園管理や冬のスノーシューツアーなどの話題で話がはずみました。全道版に載せたいというようなお話をされてたので期待したいところです。でも、できれば全道と言わず全国版に載せてもらいたいんですが・・・。たしか購読者数世界一でしたっけ?

そうすれば残るはロイターとAP・・・。全世界デビューも夢ではないな。うふふ・・・

2005-02-27

完全無欠の大学院生

一昨日、北海道大学の大学院生ご一行様をお迎えし、姿見の池周辺をご案内してきました。正確に言うと、案内したというよりはテストされていたようですけど。というのも、彼らは冬の大雪山実習の一環でやってきており、冬季のガイドツアーについて評価するという課題が出ていたからです。ツアーが終わった後に、今日のガイドの良かった点・悪かった点などを議論するというのですから、冷や汗ものです。

とはいえ、たまには外部評価を取り入れるのも悪くはありません。むしろ歓迎すべきことです。いつもたった二人で自分たちのガイド内容を点検していますから、どうしても視点が偏りがちになるからです。お客さんの立場ではなく、ガイドの立場からものを考えがちになってしまうのです。そこに風穴を開けてくれるというのなら、耳が痛くてもしっかりと評価を受け止めなくてはならないでしょう。

結局、彼らの評価はなかなかに厳しいものでした。指摘には非常に鋭いものもありましたし、改めて考えさせられる部分もありました。そのあたりについては、いずれここで詳細に考察することになるでしょう。

曇りのない純粋な眼で私たちに助言をくれた天使のような大学院生達。彼らはこんなすてきな格好でやってきました。


完璧です。冬山仕様です。何があっても生き残れそうです。惜しむらくは、その日好天で暑いくらいだったということでしょうか。

残り一年の修士課程を全うし、再び私たちに素晴らしい助言を与えてくれることを期待しています。

2005-02-26

旭岳温泉"マッシュルーム"コース

 先週の土曜日のBlogで紹介した「見晴し台」の山行報告がまとまりました。
題して「旭岳温泉"マッシュルーム"コース」。どこがどう"マッシュルーム"なのか?詳しくはこちらでご覧になってください。

2005-02-25

満員御礼

昨日の講演会はおかげさまで大盛況となりました。念のため二部屋押さえておいた会場がいっぱいになるほどの大入りで、なんと参加者は40名。「10人くらいは来てくれるかなあ」という当初の予測を軽く上回りました。大雪山の麓に住む地元の方々が、いかに登山道侵食や国立公園管理に対して高い関心を持っているか。改めて感じさせられました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。

今回のお二人の講師には、完全にボランティアで来ていただいています。昨日、渡辺先生は、「国立公園を賢く管理するには、地元民が正確な知識を持ち、その上で管理に参加することが重要である」、というお話をされていました。地元民のレベルアップを実現させるため、有言実行の精神で自ら実践するために、無償で東川町までやって来てくれたのです。太田さんも研究成果の地元還元という理念に賛同してくださっていました。ありがたいことです。このご厚意に背かないためにも、わたしたちはどん欲に学び続けなければなりませんし、研究の場と実践の場との交流を絶やさないよう守り育てていく必要があるのでしょう。

ということは、早速次回の講師の先生を決定し、大雪山まで来ていただけるよう交渉しなければなりませんね。継続は力ですから。さて、どの分野のどんな先生をお呼びしましょうか?

2005-02-23

優先順位は何で決まる?

今日のおしごと。

いよいよ明日に迫った講演会の準備。
・公民館に行ってプロジェクタの確認
・道草館に行ってスクリーンと部屋の確認
・講演者の方との連絡

沢山の注文があったDVDの作成。
・メディアにデータを焼く
・焼いたメディアの再生確認
・表紙の印刷・裁断
・ケース入れ
・郵送準備

そんなこんなで今日もあっという間に過ぎていきました。これで講演会とDVDに関しては目処が立ち、ひとまず安心です。

でも考えてみると、つい最近まで没頭していたデータベース構築が全く進んでいません。マニュアル本まで借りてきて、あんなに一生懸命やっていたのに。もうしばらくファイルすら開いていません。せっかく覚えたことも忘れてしまっていそうです。いや、きっと忘れているに違いありません。

こういう仕事って、どうしても締切りがあるものが優先になりがちです。目前に期限が迫っていればやらざるを得ませんが、締切りがないものはまあ後でもいいかと、どんどん後回しになってしまいます。こんなことでは、締切りのない仕事はいつまで経っても終わりません。将来のことを考えると、締切りが無くても重要である仕事もあります。どんなに期限のある仕事で忙しくても、合間に重要な仕事をする時間を作る努力が必要なのでしょう。この意気込みでデータベースを完成させたいところです。

でもその前に、まず確定申告をやっておかないと・・・。締切りは3月15日でしたっけ・・・

2005-02-22

産業革命を待ちながら

新聞に取り上げられるというのは本当にすごいもので、2月18日の掲載以来、オリジナルDVDの注文がじゃんじゃん入ってきます。とても喜ばしいことです。DVD作成にはかなりの時間と試行錯誤が必要でしたが、それが無駄にならなかったということですから。

でも、私たちのように小さな組織にとって、大量の注文を捌くのは簡単なことではありません。なにせ人手が足りない。私たちがDVD作成に回せる人材はたったの一人です。しかも、何か大型の機械を使ってガチャンガチャン大量にできあがってくるわけではなく、一枚一枚手作業でマスターDVDからコピーをとっていくのです。それを今回は40枚。家内制手工業にはちと辛い枚数です。

そこで、少しでも作業の足しになればと、大枚はたいて最新のDVDドライブを買ってみました。今までは書き込み等倍速のドライブを使っていましたが、新しいのはなんと16倍速。メディア側の性能にも依存するので単純に所要時間が16分の1になるわけではありませんが、それでもやっぱり早いです。DVD一枚焼くのにかかるのは15分ほど。以前は1時間弱かかっていたことを考えると隔世の感があります。

とはいえ、1枚15分で40枚。全部作るには・・・敢えて計算はしないでおきましょう。涙が出そうなので・・・。山楽舎BEARが家内制手工業から工場制機械工業に移行する日はくるのでしょうか?せめてマニュファクチャくらいまでは行けるといいのですが。

メディアとケースとドライブに囲まれて
・・・これ全部やるの・・・?

2005-02-21

下見は大事

昨日は札幌でスノーシューツアーを行いました。大雪山をホームグラウンドとする私たちにとって、札幌はいわばアウェーとなります。そしてやはりありました。「アウェーの洗礼」というものが。

それは、交通渋滞です。

旭川にも一応渋滞らしきものはありますし、冬ともなれば道路にはみ出した雪の山と滑る路面で車が遅々として進まなくなることもあります。でも、東川町に住む私たちが仕事で旭岳に行くときに道路が込むことはあり得ません。その間、信号すらほとんど無いくらいですから、交通量が絶対的に少ないのです。いつでも快適にすいすいと移動することができます。それが常態の私たちにとって、「仕事」と「渋滞」とは結びつく概念ではないのです。

しかし、北海道随一の都市・札幌はやはり手強い相手でした。

スノーシューツアーを行った円山は市街のただ中にあるため(2月2日の記事参照)、そこに行くためにはいやでも札幌中心部を通り抜けなければなりません。その道でまんまと渋滞にはまってしまったのです。都市の中心が渋滞することは、ごく自然なことです。しかも集合時刻は朝9時で、最も交通量が多い時間帯です。朝、市街地を走る時は渋滞に注意する。「仕事」と「渋滞」が結びつかないがために、こんな当たり前のことに頭が回りませんでした。結局、一つの交差点を通り過ぎるのに信号3回分もまたなければならないような状況で、登山口に着くまで普段の何倍も時間がかかってしまいました。

幸いなことに、渋滞にはまったのは前日下見に行ったときの話。一応念のため、当日の時刻に合わせてもう一度歩いておくことにしたのですが、これが奏功しました。ツアー当日渋滞で遅刻なんてことになったら目もあてられませんから。下見って本当に本当に本当に大切だ、と再確認した札幌の一日でした。

2005-02-19

なるほど"見晴し"台

 旭岳ビジターセンターの裏(旭岳側を表とすると)に通称「見晴し台」と呼ばれている小山がある。夏のあいだは散策路をたどって簡単に行ける場所なのだが、冬に行こうとすろと、急な登りのラッセルを強いられ、気軽に行きたくなるところではない。ところが、これは夏の散策路をたどって行こうとするからで、"道のない"冬場には「夏道」にこだわる必要はない、ということに遅ればせながら気づいた。地形図を良く見てみると、夏道がついていない尾根上を行けそうなので、好天をついて様子を見に行った。
 温泉街の一番下あたりから、深雪の中を歩き、緩やかな尾根上を登っていくと、案の定「正規ルート」から苦労して登って来たトレースにすぐに合流できた。夏のあいだは、木々の葉が生い茂って、いまひとつ見晴らしの良くない「見晴し台」だが、木々の葉がなく、積雪で視線が高くなるので、視界は良好で、嘘偽りのない「見晴し台」になる。景色を見に来た動物たちの足跡も多い。
 詳しくは近日中に詳細を報告するので、そちらを見てほしい。乞うご期待!

兆客京来

2月18日。 朝からじゃんじゃん携帯が鳴ります。朝ご飯を食べている途中に一回。 シャワーを浴びている最中に一回。ひげを剃っている間に一回。 家を出て帰るまでには数え切れないほど(おおげさ)。 いずれも仕事の問い合わせでした。

どうしてこんなに電話が集中したのかというと、今日付の北海道新聞朝刊に山楽舎BEARの記事が掲載されたかららしいんです。 「らしい」というのは、我々は二人とも新聞をとっていないため確認のしようがないからなんですが。 考えてみると、以前取材を受けていたんですよね(1月22日の記事参照)。 山楽舎BEARで作成しているオリジナルDVDと来週開催する講演会について、写真入りで結構大きく扱っていただいたとのこと。その記事を見た方々からの注文と参加申込の電話だったのです。

ひっきりなしに仕事の電話が入るのはやはり嬉しいものです。いつ電話が鳴るかわかりませんので、常に肌身離さず携帯を携帯しなければなりませんが、そんなのは些細なことです。運転中に電話が鳴ると、「早く停車しなきゃ」と焦ってしまいますがそれも些細なことです。たくさんのお客さんから連絡が入るこの喜びに比べれば。

載せてくれた北海道新聞さんと、興味を抱いてくれたお客さんに深く感謝いたします。

2005-02-18

エゾマツの墓場

 二月も半ばを過ぎ、日の出がすっかり早くなった。六時過ぎにはうっすらと外が明るくなってくる。NHK-FMでバロック音楽を聴きながらコーヒーを落とし、窓を開けると、トムラウシから十勝連峰にかけての稜線が見える。ネットで天気図をチェックしたところ、一日保ちそうなので、出かけることにした。
 以前から気になっていた旭岳山麓の湿原に足を伸ばしてみることにする。クロスカントリーコースからすこし南に行ったあたりで、もちろん地図上にコースはない。例によって、地図と磁石とカンをたよりに深雪を踏み分けて進んでいく。
 地形図上で確認できるように、たしかにそこには湿原らしきものがあった。水温が高いらしく、ところどころ地面が露出していて、オオカナダモらしき植物が見える。それよりも目についたのは、樹齢150〜200年くらいのアカエゾマツの大木が、同じ方向を向いて、文字通り「枕を並べて」倒れている姿だ。去年の九月にこのあたりを襲った19号台風で倒れたものらしい。樹齢から考えて、おそらく150年に一回あるかないかの暴風だったのだろう。さながら「エゾマツの墓場」とでも形容したくなる光景だった。
 駒止の滝を眼下に見下ろし、急斜面をジグザクをきって登り、二時間ほどの"探検"を終えた。

2005-02-16

寒中忙あり

2月中旬。寒さ厳しい時期であり、冬祭りや雪祭りが開催される時期でもあります。冬真っ盛り・冬たけなわといった感じでしょうか。

そんななか、私たちのもとには7月のガイドの予約が3件も入りました。7月といえばまだ半年も先なのですが、なにせお花の見頃時期です。希望の日程を押さえるには予約も早いに越したことはありません。この3件の予約も7月第3週に集中しています。そういう意味では、もう半年しかないというべきなのかもしれません。いずれにせよ、仕事大好きな私たちにとって、予約が入るのは喜ばしいことです。

しかも、いずれも昨年に引き続きのご指名なんです。
 ・お客さんにリピーターになってもらう。
 ・山楽舎BEARのファンになってもらう。
そんな目標を持って仕事をしている私たちにとって、これほど嬉しいことはありません。

考えてみれば、目に留まるような派手な宣伝をすれば、最初の一回来てもらうのはそう難しいことではないでしょう。でも本当に大切なのは、一度来てくれた方に「また来たい」とか「次も一緒に歩きたい」と思ってもらうことです。これはとても難しいことで、同時にとてもやりがいのあることでもあります。

今回入った3件の予約は、私たちにちょっとばかりの自信と、重い責任を与えてくれました。今年の予約が入ったということは、どうやら昨年は満足してもらえたようです。まずは一安心。でも喜んでばかりはいられません。なぜなら、昨年以上に満足してもらえるか、また来年も来たいと思ってもらえるかは、私たちのこれからの仕事ぶりにかかっているのですから。

2005-02-15

データベース構築中

とりあえずエクセルに生データを入力し終わりました。打ち込みはそれなりに多く、大変ではありましたが、一回一回のツアー・一人一人のお客さんを思い出しながらの楽しい作業でした。

問題は、その後どうやってデータの活用をするかなんですよね。こんなふうに抽出して一覧にできたらいいなあ、とか、あんなふうな分析ができたらなあ、とかいう妄想レベルのデザインはあります。でも、それをどうやったら現実のものにできるのかが皆目検討つきません。

だいたい、データベースを作るのに、エクセルのままで行くのか、アクセスに手を出すのかすら迷っていました。エクセルだって使いこなせばかなりのことができそうですし、それに多分、今のデータ数や使い方ならエクセルでも十分だと思うのです。でも、将来10万・100万の顧客を抱える可能性だってあります。そのとき困らないためには、今のうちからデータベースソフトに慣れておかなくては・・・。そんな白昼夢を見ながら、日々之アクセスの勉強なのでした。

白昼夢ではなく予知夢になればいいのですけどね。

2005-02-14

「磁石」は凄い!

 きのうは、お客さん3・スタッフ2、の都合5名で姿見の池を目指した。
 「目指す」なんていうと大げさな感じがするが、気温-19℃、風速12メートル、視界は30メートルほど。単純計算で体感気温-31℃という条件下では、夏なら"散策"と呼ばれているものが一転"冒険"になる。
 こういう悪条件下では、ヒトの感覚はほとんどアテにならない。本悪的なホワイトアウトになると、一歩先が登り斜面なのか、下りなのかさえ分らなくなる。こういうときに、自分の感覚を信じて行動すると間違いなく遭難する。
 ヒトの脳には無意識に、
1.登りよりも下りを好む
2.歩きにくいところを避ける
という性向があるらしい。さらに個人ごとに右足の脚力が左よりも強かったり、その逆だったりするので、目標物がないと右に曲がったり左に曲がったりする。こんな条件が重なると、同じところをグルグルとまわるリングワンデルングを起こしたり、信じられないことだが、北に向かっているはずが、いつのまにか南へ進んだりする。
 こんなときに頼りになるのが方位磁石だ。今回も、地形図上で目標物に磁石を合わせ、その方向に向かって進む「計器歩行」で、姿見の池を目指した。残念ながら、途中で視界がほとんど利かなくなり、気象条件も悪化したため、途中で戻ることになったが、「冬の旭岳」の厳しさだけは感じていただけたかと思う。
 いまやハイテク化された飛行機や船だが、安全運行のために使われている原理はいまだに磁石と同じだ。「常に同じ方角を指す」という、これ以上単純な原理もないほどの単純な原理が、いかに大切かということを、こんなときに思い知らされる。

2005-02-13

使いたい時にあなたは使えない

私も佐久間も、とあるメーカーの地図入れを使っています。なかなかよく考えられた製品で、内側が透明な入れ物の中に地図を入れ、見る時は開き、歩く時にはくるくると巻いて収納できます。ジップロック併用で防水性には問題がなく、取り出しやすくしまいやすい。我が社における占有率100%で(といってもわずか2/2ですが)、事実上、山楽舎BEARオフィシャル地図入れと言ってもよいでしょう。

ところが、この地図入れに看過しがたい重大な欠陥が見つかったのです。オフィシャルの地位まで登りつめたというのに、なんということでしょう!地図入れ内側の透明部分は厚手のフィルムで作られているのですが、この部分が寒さに弱いんです。ー20℃の中で使うとフィルムが硬化してしまい、収納しようとくるくる巻くと、

「ぱきっ」

っといい音を響かせて割れてしまうのです。そんな割れ目がもう3カ所。

しかも全て今年に入ってからのものです。買ったのは去年なので、経年劣化ではないでしょう。佐久間が使っているものにも豪快な裂け目ができているので、たまたま不良品だったというわけでもなさそうです。つまり、この製品特有の欠陥であると考えられます。とはいえ、ー20℃なんて気温の中で使うのがそもそも非常識だ、と思われる方もいるかもしれません。たしかに非常識な気温ではあります。でも、実際地図を読む必要があるのは、夏ではなく冬なんです。夏山では基本的に登山道の上を歩いていれば良いのですが、冬は全てが雪の下深くに埋まっていますからそういう訳にもいきません。また、環境が厳しくなればなるほど、手早く地図を出し入れしなければなりません。厳しい冬こそ使いたいものが厳しい冬には使えない。こんな悲しいことがあるでしょうか、いやありません。

この製品の他の点にはとても満足しています。フィルム部分だけでいいので、改良したものが出るとうれしいのですが。もし発売されるなら、少なくとも二人は喜んで買うことでしょう。

2005-02-12

データベースが語る将来像

山楽舎BEARオリジナルプログラムに参加してくださった方々の情報をまとめる作業を始めました。2002年冬から2005年の昨日までの足かけ4年。一覧にしてみるとかなりの人数になります。複数回参加してくださった方もかなりの割合になりますし、中には10回以上という方もいらっしゃいます。本当にありがたいことです。

今までもプログラム毎の参加者名簿はありました。でも、年により季節により体裁が異なっていたり、それぞれが別ファイルに保存されていたりで、統一的なデータとなっていませんでした。現時点ではそれでもなんとかやっていけるのですが、今後のことを考えると早いうちに雛型を作っておくべきだろうと判断し、この大変な作業を始めたわけです。

ところで、私たちの仕事には大きく2種類あります。一つは旅行代理店が主催するツアー登山の引率を請け負うことで、もう一つは自分たちで企画・集客するオリジナルプログラムを催行することです。現状では、仕事数でも金額でもツアー登山の方が断然多くなっています。でも、旅行代理店への依存が過ぎるのはあまり良い状態とはいえません。なぜなら、代理店の胸三寸で仕事が減る可能性が高いからです。今は中高年の登山ブームにのってツアー登山も盛況ですが、それがいつまでも続くとは限りません。ブームが去り、集客がままならなくなれば、代理店は登山ではない別のツアーを売り出すでしょう。また、ツアー登山の目的地にも流行廃りがありますから、ブームが安定したとしても大雪山がその目的地になるかどうかはわかりません。さらに、ツアー登山の大人数性と時間的・空間的集中性はオーバーユースを引き起こす原因のひとつであると考えられています。

つまり、収入を安定させるにも適正な利用を促すにも、旅行代理店に頼らないことが重要であるといえます。ツアー登山に依存しない自立したガイド会社になるには、個人のお客さんを大事にするほかありません。個人のお客さんにきめ細かな対応をしていくためには、基礎情報となるデータベースが必要です。顧客データベースの構築は確かに大変な作業ですが、そう考えるとやる気が出てくるというものです。収入の中心は、個人のお客さんが参加する少人数のツアー。そんな理想像を目指して、まずはささやかながら第一歩を標したということになるのでしょうか。

2005-02-11

雪尺成長中

以前、ここで取り上げましたが(1月23日の記事)、雪の深さを測るための「雪尺」というものがあります。この棒がどこまで見えているかで雪が増えたか減ったかわかるのですが、この雪尺自体が伸びたり縮んだりするとは知りませんでした。
こんなふうに。



成長前成長後



ちょっと見ないうちに、なんと、雪尺の背が伸びていたのです!1月に見た時は確かに3m20までしか測れなかったはずが、2月に入ると突然5m50まで測れるように成長していました。

広葉樹林の林床には、春の早い時期に芽を出し花を咲かせ実まで結んでしまう植物が生息し、スプリングエフェメラルと呼ばれています。なぜ春のうちに1年のサイクルすべてを終えるかというと、高木が葉をつける前のまだ林床が明るく陽光を受けられるうちに活動するためであり、同時に、花をつける時期をずらすことで、花粉を媒介する昆虫の訪問を確実にするためでもあります。

とすると、ひょっとして雪尺もスプリングエフェメラルの仲間なのでしょうか?どの植物よりも早く成長しようとした結果、まだ雪深いこの季節に芽を出してしまった・・・。そう考えれば辻褄は合う・・・。太陽光と花粉媒介昆虫を獲得するための生存競争が、こんな変種を生み出してしまったとは。驚くべき発見です。この行き過ぎた進化がたどり着く先に、いったい何があるというのでしょうか。 植物の世界は不思議に満ちています。


注意!
写真の地点は広葉樹林ではありませんし、ましてや雪尺は植物ではありません。念のため。

2005-02-10

川と森と巨大な雪だるまと

先日、佐久間が書いたように(2月8日の記事)、私たちの仕事にはコース開発という先行投資が必要です。今日は、旭岳方面に新コースを設定するため、下見に行ってきました。

企業機密情報の漏洩を防ぐため、残念ながら詳しい場所は明かせません。旭岳に向かう道路脇、とだけ言っておきましょう。

車を停めて新雪の中に入り込みます。ちょっとした丘を乗越えると、そこは遙か昔に溶岩流が作り出した地形です。大小の岩があるせいか、かまくらのようになった雪の高まりがそこかしこに見られます。その変化に富んだ地形の中に、エゾマツ・トドマツ・ダケカンバなどが思い思いの場所を占めています。


陽光が射し込みきらきらと光る林を縫って行くと、どこからか川のせせらぎが聞こえてきました。勇駒別です。春の日差しが雪を溶かし、川のせせらぎが聞こえ始めると、すっかり春気分になってしまいます。


川沿いにしばらく歩くと、ちょっとした森の広場に行き当たりました。地図で現在位置を確認すると、すぐ側に小ピークがあるようです。遠望を期待して、そこまで行ってみることしました。再び起伏を越え、林を縫い、えっちらおっちら登ること20mほど。その高まりの頂点から、東の方角に旭岳が見えました。山頂部は雲に覆われていましたが、ここは良い展望台になりそうです。


帰り道発見した、巨大雪だるま


川あり、森あり、展望あり。三拍子そろった盛りだくさんなコースに、おまけに雪だるままでついてきます。通い慣れ見慣れた旭岳へ続く道路ですが、そのすぐ側にこんな素敵なコースを発見できるとは。3月のプログラムに新登場できるかな?

2005-02-09

さよなら

・・・はあ。3年間ずっと一緒だったのに、お別れしてしまいました。さようなら、お幸せに。胸にぽっかりと穴が空いています・・・。

あ、携帯電話の話なんですけどね、山の中でなくした。

愛着のある携帯なので、誰かが拾ってくれるのを待ちたいところなのですが、仕事に差し支えるので新しいのを買っちゃいました。3年前に買った前機種と比べると、ずいぶんいろいろな機能がついているものです。
カメラとか。大きな画面とか。ラジオとか。
これで価格は以前と変わらないくらいなのですからお得なものです。

でも、なんだか必要のない機能ばかりです。山で働く私たちが欲しいのはこんなものではありません。欲しい携帯電話の条件は、
 ・水に濡れても大丈夫。防水性・耐水性。
 ・山奥でも電波をよく拾う。高性能なアンテナ。
 ・山中で電池切れにならない。大容量のバッテリー。
 ・岩にぶつけても傷つかない、壊れない。耐衝撃性。
カメラもラジオもなくていいから、山で使えるこんな携帯が欲しいのです。昔あったカシオのGショック携帯みたいなの、もう一度でないでしょうか(後継機種の噂に期待しています)。

おっと、一番大事な条件を忘れていました。
 ・山の中で落ちない、なくならない。
もう二度と携帯をなくして苦労したくないですから・・・

2005-02-08

ソフトウェア産業としての山岳ガイド

 きょうは午後から天人峡の通称「くるみの沢」へ行って来た。2月22,23日に予定している「写真家・松野智久と観る冬の野生動物」というプログラムの下見のためだ。「くるみの沢」入り口の駐車帯で松野氏と待ち合わせ、一時間ほど森を歩いてプログラムの構成を考えた。
 どんなプログラムか?の説明は、参加してみてのお楽しみということで、後日に譲る。ここで述べたいのは、我々ガイドにとってのプログラムの重要性という点だ。
 日本には「登山産業」といえるような業界がいちおう存在している。モンベルのような登山用品メーカー、北海道なら秀岳荘に代表される山道具店、北アルプスを頂点に形成されている山小屋業界、『山と渓谷』や『岳人』などの山岳雑誌、古くからある「山案内人組合」などに代表されるガイド業などが「登山産業」を構成している。
 ガイド業が他の分野と大きく違うのは、モノを売らないという点だろう。ザックや登山靴などのハードウェアそのものではなく、それらのモノをどうやって使うのかの「How to = ソフトウェア」を売るのが我々の商売である。たとえば、「ザックの正しい使い方」というソフトと、「疲れない歩き方」というソフトを組み合わせれば、「楽に山を歩く方法」というようなプログラムが出来る。これが我々の商品だ。
 プログラムがたくさんあればあるほど「品揃えのいい店」というわけだが、商品の中には「売れる」モノもあれば「売れない」モノもある。「楽して山を楽しもう」という商品はたぶん売れ筋だと思うが、「登山道の浸食現場を視察して、問題点を語り合う」という商品はまず売れない。じつは売り手の側としては「登山道浸食」プログラムを売りたいのだが、なかなか需要と供給は噛みあわない。
 店側が売りたい商品ばかりをならべても、買い手側が「買いたい」と思わなければ店は潰れてしまう。買い手側が何を「買いたい」と思うかを探るのが、プログラム作りでは一番重要だ。それを知るために、我々ガイドは何度もコースを下見してプログラムの構成を考える。当初予定していたコースに下見に行ったら、「売るものがない」ことが判明する場合もある。そうなると残念ながらそのコースは中止ということになる。コンピュータのソフトウェア開発と一緒で、プロジェクトを立ち上げたはいいが、すぐに頓挫してしまうことも多い。
 「山樂舍BEARオリジナルプログラム 」に、新たなラインナップがなかなか増えないのはこんな"製作過程"を踏んでいるからだ、といったら言い訳にしか聞こえないだろうが、ソフトウェア開発のような完全な先行投資ばかりしていては食って行けないので、勢い"定番"に頼ることになってしまう。珠玉のプログラムを豊富に取り揃える「老舗」になるまでの道のりはまだまだ遠い。

修士論文発表会

携帯電話事件の傷跡も癒えぬまま、またしても札幌にやってきました。通信もままならないこの抜き差しならぬ状況の中、わざわざ長距離を移動してきたのは、後輩たちの修士論文発表会に出席するためです。修士論文発表会というのは、修士課程に入学して以来2年間の成果を修士論文という形でお披露目する場であり、先生方がその内容の可否を問う場でもあります。今日その場に立ったのは、入学当初から知っている後輩たちです。中には、ほんの少しですが調査の手伝いをした人もいます。大雪山で調査をしていた人もいます。そんな彼らの2年間の集大成がどんな形になったのか確かめたかったですし、最後の晴れ姿を見届けたいという気分でもありました。

2月24日に東川で講演をしてくれる太田くんもそのうちの一人です。デジタル写真を用いてパソコン上で登山道の3次元モデルを作成したそうです。それを大雪山の登山道100地点で丹念に行い、登山道侵食がどこでどのようにおこっているのかを評価しています。彼の発表はいままで何度となく聞いてきましたが、この1~2ヶ月の間、修士論文の執筆・発表会というプレッシャーにもまれ、以前よりも格段によい発表をするようになっていました。これは講演会も大いに期待できそうです。

在学中は他人の発表にあまり興味をもてませんでした。でも今や知的な刺激を受けられる貴重な機会だと感じます。一度卒業すると学問の世界は途端に縁遠いものになりますが、でもだからこそ、そのありがたさを再認識し積極的に受け入れたいと思うようになるのでしょう。この情熱が在学中からあればよかったのですが。健康なんかと同じで、失ってはじめてわかる種類のものなんですね、きっと。

2005-02-07

1月30日の写真

 1月30日の森コースに参加された香港のLo Fan さんが、当日の写真をご自身のホームページに掲載されています。URLは以下のとおりです。

http://www.fotop.net/lofan/hokkaido2005asahidake

※本文にリンクを張れない"使えない"Blogでごめんなさい。

2005-02-06

トムラウシへの道

 なぜかここ数年需要がある旭岳からトムラウシへの縦走について、ホームページにコースガイドを載せようと、作業をはじめた。ところがいざ始めてみると資料が大きく不足していることに気づく。
 まず地図がない。ホームページを開設した2001年の冬に表大雪のほとんどの山についてのオリジナル地図を作ったのだが、さすがに山中三泊ほどしなければ縦走できないこの山域の地図は、ガイドの需要があまりないと考え、作らなかった。そんなわけで地図作りからはじめたのだが、やはりこれは大変な作業だ。以前にも書いたが、まず2万5千分の1地形図をダウンロードし、必要なぶんを張り合わせる。Illustratorで等高線を50または100メートルごとにトレースし、登山道や山頂の名前•沢筋•池や沼を写し取る。これだけでもかなりの数のレイヤーができるのだが、これをさらにPhotoshopで影をつけたりして立体的に見せる工夫をする。要領が悪いので、一枚の地図を作るのに3日くらいかかる。もちろん、家から一歩も外へ出ずに作業しているわけではないが‥‥。
 その次に大変なのが写真捜しだ。我が家には過去10年間に撮った膨大な量の写真があるのだが、自慢じゃないがちゃんと整理されているはずもなく、使えそうな写真を探し出すのにけっこう時間がかかる。しかもほとんどすべてスライド用のポジフィルムなので、場合によってはこれをスキャンし直さなければならない。もちろん、すべての写真をスキャンしてデータベース化するという野望はある。が、しかし、懸案となったまますでに数年が経過している。心なかでは、老後の楽しみにとっておいてはどうかという、悪魔のささやきがすでに聞こえてきたりする。
 実際のところ、始めたはいいが、いまだに地図の一枚も完成せずに、すでに懸案化しつつあるという現状である。夏のシーズン開幕までに完成する見通しはまったくたっていない。

2005-02-05

人の振り見て我が振り直せ

先日、道ばたで携帯電話を拾いました。
 いったいどうやったら携帯なんて落とすんだろうな。
 無くした人は大変だろうな。
 今時、アドレス帳は全部携帯の中だものな。
 家の電話持たない人も多いし、通信が途絶してしまうんだな。
 拾われて悪用される可能性もあるよな。
かわいそうに、と思い、拾ってすぐ交番に届けました。

警察にさえ届けられれば、中のデータから本人を確認するのは簡単だし、本人の手元に戻るのも時間の問題でしょう。ささやかながら他人様の役に立つことをして、功徳林の一本目くらいにはなったかと、ちょっぴりいい気分でした。


今日、おそらく山の中で携帯電話を落としました。
 いったいどうして携帯なんて落としたんだろう・・・
 携帯を無くすと仕事にも差し支えるぞ・・・
 アドレス帳は携帯の中にしかないし・・・
 家の電話はあるけれど、相手の電話番号がわからなければかけようがないし・・・
 拾われて悪用される可能性もあるから、急いで電話会社に連絡して発着信を停めてもらわないと・・・
なにか無性にどきどきして、すぐに交番に紛失届を出しました。

警察にさえ届けられれば、中のデータから本人を確認するのは簡単ですよね?本人の手元に戻るのも時間の問題ですよね?ささやかながら他人様の役に立つことをしたから、きっと自分にもいいことがかえってくるはずですよね?

問題は、落としたのが山の中だっていうことなのですが・・・。春になったらでてくるんでしょうか?

人の振り見て我が振り直せれば苦労はしない、というお話でした。はぁ。

2005-02-04

大好評?BEAR通信

わが山楽舎BEARでは、お得意様向けに通信紙を発行しています。しています、といっても昨年12月に創刊したばかりで、今ようやく第2号を編集しているところなのですが。山を歩く合間を縫って、春夏秋冬の年4回発行を目指してがんばってます。

通信紙今号の特集はスノーシュー選びの基礎知識。スノーシューを買いたいけれど、どれにすればいいのかさっぱりわからない、という方いらっしゃいませんか?そんな人のための購入ガイドなのです。

お客様からもよく「どのスノーシューを買えばいいのか」と聞かれます。私たちも日々スノーシューを使っているので、ある程度のアドバイスはできるのですが、数多あるスノーシュー全てを把握しきれるものではありません。5つも6つもあるメーカーが、それぞれ6つも7つもの種類を出しているのですから。

そのごく一部


蛇の道は蛇・餅は餅屋・紺屋の白袴(あ、一つ間違えた)。スノーシューを買うにはスノーシューを売っている人に聞くのが一番です。そんなわけで、取材に行ってきましたよ。秀岳荘旭川店に。秀岳荘といえば、北海道では知らぬもののない山道具の専門店。私たちもいつもお世話になっています。スノーシューを買うときに気をつけるべきポイントについて、店長さんにお話を伺ってきました。

いやー、落ちましたね。目から鱗がぽろぽろと。そして得心がいきました。スノーシューを選ぶ時、気をつけるべきことが何か。

その秘訣とはいったい何なのか!

お後は通信紙をご覧あれ。

(これじゃああんまりなんで、ご希望の方にはお送りします。お申し込みはこちら。)

2005-02-03

大漁大漁

今回札幌に滞在している間、母校の研究室に顔を出していました。研究室に行くと、恩師と情報交換できるし、がんばっている後輩たちを見て刺激をうけられるし、先輩たちととりとめもない話もできるしで、いつも有益な時間を過ごすことができます。しかし今回は、それ以上の大収穫がありました。

「北海道の自然保護」
「北の自然を守る」
「神々の遊ぶ庭」
「自然保護の法と戦略」

これ全部本のタイトルなんですが、なんと、この4冊を手に入れることができたんです。しかもただで。


どういうことかというと、とある先輩が本棚の整理をするのに蔵書を放出してたんですね。ご自由にどうぞって感じで。何の気なしに並んでいる本の背表紙を眺めてみると、あるわあるわ。興味を惹かれる本が居並んでいるではありませんか。どれも前から欲しかった本ばかり。こういうふうに放出する本は、本来在学中の学生こそが預け受けるべきものなのかもしれません。たしかに、自分の理性もそう言ってました。でも、この魅力的なタイトルを前にして、その声はすっかり聞こえなくなってしまいました。いつの時代も誘惑の前に理性は無力なものです。さながら本能の赴くままに獲物を狩る肉食獣のように、本を抱え込んでいきました。なぜ、本を持って帰るのか?そこに魅力的な本があるからさ、ってなもんです。それからしばらくは背表紙を見てはにやり、ぱらぱらめくってはにたり。もう、うれしくてうれしくて。

でも・・・

喜び勇んで東川の家に帰ってきて、さて本棚に並べようかと思ったその時。あれ、おかしいな、同じ本があるぞ・・・。よく見たら、4冊のうち2冊はすでに本棚にありましたよ・・・。実はすでに持っていたとは。自分で買った本も覚えてないなんて、そろそろ記憶力も怪しくなってきたようです。喜びが大きかった分、自分の間抜けさ加減もひときわ際だってしまいます。やれやれ。

今度札幌に行く時、返してこなくちゃ・・・。

2005-02-02

天然の森で

先日、諸般の事情から行きそびれたスノーシュープログラムの下見に行ってきました。

行き先は札幌・円山(標高226m)。アイヌ語ではモ・イワ(小さな山)と呼ばれていたそうで、その名の通りちょっとした丘みたいな山です。幼稚園くらいのころ家族で登った記憶があるくらい気軽に登れる山です。大人の足なら夏で20分くらいでしょうか。

周囲はすっかり都市化・宅地化されていて、麓ぎりぎりまで建物が密集しています。一方でこの山の木々は明治以前からほとんど伐採の手が入っていない天然林なのだそうで、まるで都市の中に浮かぶ緑の小島のような風情があります。

そんな理由もあってか、市民の人気は高く、毎日散歩に来る人や犬の散歩がてら登って来る人も多く、平日の昼にはスーツ姿のサラリーマンが休憩していたりもします。冬でも多くの人が登るようで、今日も登山口から山頂まで夏道と寸分違わぬ踏み跡がしっかりとついていました。

もちろん、スノーシューを使う場合は踏み跡をたどる必要はありません。天然林の中を自由自在に歩けばいいのです。明るい広葉樹の林の中、カツラやハリギリの大木の間を縫っていく。いろいろな動物の足跡を追いかけてみる。ほんの小さな山で、踏み跡がしっかりついているからこそ、そこから外れて林に踏み込んでいく楽しさがまします。ちょっとした背徳感とちょっとした優越感。自分だけが知っている小さな秘密を手に入れたような気持ち。それこそがスノーシューの楽しみなのです。


天然林の中の巨木

山頂につくと、突然視界が開けます。円山の山頂は岩塊の上にあり、札幌市街の眺めがよいことで有名です。今日は天気が良かったので、市街の彼方に白く輝く樺戸山地まで見渡せました。林の間からは小樽の海が見えます。藻岩山もすぐ側に。そして、条件が良ければ、なんと大雪山まで望むことができるそうです。ということは、大雪山からも円山が見えているということですよね。こんな小さな山が見えているだなんて、ちょっと不思議な気がします。


円山山頂から大雪山方面を望む(見えないけど)


登りはそれでも、登山道が視界の端に入るくらいのところを歩いてきたのですが、下りは登山道から全く外れたルートをとりました。ちょっとした沢地形になっているため、市街地は全く見えません。林もより深く、本当に街の側にいるんだろうかと思うほどです。

ほんの1時間ほどの散歩でしたが、スノーシューの醍醐味をぎゅーっと凝縮したようなコースでした。

2005-02-01

12分の1

2005年も1ヶ月がすぎました。毎日何かしら忙しく、いろいろなものに追われて、気がつけばあっという間にもう2月。いつものことながら早いものです。

今年の1月はずいぶんと暖かい月でした。最高気温がプラスの日もありましたし。たまにそういうぽかぽか陽気の日があるのも、気分転換としてはいいのですけど、こんなに頻繁だと調子が狂います。

スノーシュー最盛期の2月は、いったいどんな気候になるのでしょうか。適度に寒くて、適度に雪が降り、そしてたくさんのお客さんが来てくれる月になってほしいものです。