2005-09-13

登山道侵食調査

紅葉シーズンに片足を突っこみつつある今日この頃。今日は表大雪、明日は十勝連峰とあちらこちらの紅葉を求めて毎日忙しく過ごしています。そんななか、寸暇を惜しんでこんな調査を行ってきました。


場所は裾合平。調べているのは登山道侵食について。デジカメで写真を撮って、パソコン上で合成して三次元モデルを作り、侵食量を測るのです。今日はその第一行程、写真撮影の日です。

そもそも登山道侵食とは何でしょうか?簡単に説明すると、登山道がこんな(↓)状態にえぐれていくことです。


一度えぐれてしまうと自然に元の状態に戻ることはありません。地中から硬い岩が出てくるまでえぐれ続けます。その結果、利用者にとって歩きにくく不便になるだけではなく、土壌を削り植生を破壊するなど自然環境にも影響を及ぼします。「自然を守りかつ楽しむ」ことを目的とする国立公園にとって看過できない大問題であることがおわかりいただけるでしょうか。こんな問題が大雪山中の至る所で見られるのです。

そんな登山道侵食に対処するため、大雪山ではさまざまな調査が行われてきました。その中でも特に、去年と一昨年の二年間で行われた調査は、調査地点の多さと侵食を面積ではなく体積で測るという方法において非常に画期的なものでした。このまま長期間データを取り続ければ、有意義な結果が出るだろうと期待していたのですが、残念なことに調査者の学生さんが卒業してしまい、半端にやりっぱなしの状態になってしまっていました。

私たちガイドは一般の登山者よりもよっぽど登山道を歩きます。また、登山道を歩くことでお金を稼いでいます。だから、利用するだけではなく保全のために何かをしないとならないのではないか?常々そう考えていました。そこで思い切ってこの調査を引き継ぐことにしたのです。私たちには専門知識はありませんが、大雪山の麓に住んでいる地元の人間ですから学生さんのように卒業してどこかへ行ってしまうことはありません。そういう意味では調査を担当するのに適しているとも言えます。

調査道具などは自前で揃えなければなりませんし、仕事の合間に調査をするのは時間的にも肉体的にも負担ですが、自分の好きな山、仕事場としている山に対して何か貢献できるかもしれないと思えるのは、なかなか素敵なことです。今のところ1人で細々とやっていますが、いずれ地元の関係者の方々と協力して調査を進めていけるようになればいいなあ、と思っています。

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