2008-06-17

雛鳥の受難

樹林帯でよく目にするエゾライチョウ。本州のライチョウより一回り小さく、夏冬で換毛しないのが特徴です。いまちょうど子育ての時季のようで、小さな雛鳥を5~6羽連れて歩いている姿をよく目にします。

人間が近づくと、親鳥が人間の目を惹きつけている間に、雛たちは一斉にピヨピヨ小さな羽をばたつかせて飛んでいきます。見事な連係プレーです。でも、それがうまくいかないと・・・

たった一羽逃げ遅れてしまった雛鳥が、手を伸ばせば届く距離の枝先でプルプル震えています。地面から水平方向に飛んでいけば逃げられたものを、垂直方向に飛んでしまったものだから、もうまさに顔の高さになるわけです。時折、身を隠すかのように首をすくめる仕草が胸を打ちます。

一方、親鳥は何をしているかというと・・・。やや離れた木の枝に止まって思案顔。ジッとこちらを睨んでみたりするものの、枝の上をウロウロするだけで何をすればよいかわからない様子。焦る気持ちはよくわかりますが、イジワルして敢えて立ち去らず、この親子がどうするのか観察することにしました。この状況を打開するのに、ライチョウ親子はどうするのでしょう。

はたして。2~3分経ったころ、不意に雛鳥が親鳥の方向に飛び立っていきました。ぴよぴよぴよ。さっきまであんなに震えていたのに、きっとありったけの力を振り絞って行ったに違いありません。親鳥が助けてくれない以上、自分の力で生き延びていかなければならないと、身をもって知ったことでしょう。本当の天敵に襲われた際には、ぜひ今回の経験を活かして欲しいものです。

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