2008-08-31

8月の紅葉

今年の紅葉は早いとは思っていましたが、まさかここまでとは・・・。

武華山-武利岳縦走に行ってきました。稜線部のウラシマツツジが色づいているのは予想通りだったのですが、それだけではなくナナカマドやダケカンバまでチラホラ紅葉・黄葉を始め、場所によってはもうすでに見頃と言ってもいいくらいだったのです!

まず驚かされたのが、武華山の稜線付近。ハイマツの中のナナカマドがくっきりはっきり赤くなっているのを見て、一瞬声を失いました。

ほんの10日前はこんな緑だったくせに・・・

そして、近寄るとこの通り。濃い赤・薄い赤・オレンジ・黄色。これを見頃と言わずして何と言う。

武華山から武利岳へ向かって下る途中。高山帯だけでなく、樹林帯でも紅葉です。

武利岳山頂付近。ウラシマツツジは当然この通り。ウラシマツツジに関しては、紅葉の進み具合8~9分と言ってしまっていいでしょう。

さらにさらに。武利岳登山口にかなり近づいてから。こんな森の中のダケカンバまで黄葉し始めているのですから驚くほかありません。本当にまだ8月なのかと思ってしまいます。

今後悪天候が続いてしまったり、強風が吹き荒れたり、そんなことでもあったなら、8月の紅葉が一番キレイだったなんてことになりかねませんね。

2008-08-30

明日天気になあれ!

ずいぶん久しぶりに夕焼けを見た気がします。

ツアーへのお申し込みがあるときに限って天候が思わしくなく、かと思えばお天気が良いときにはお申し込みがなく。どうも今年の8月は何かがかみ合いません。

明日は天気になってほしいものです。

2008-08-29

大雪山の価値と魅力を再発見する

というテーマで2時間ほどお話をしてきました。

対象はなんと、大雪山パークボランティアのみなさん。経験も知識もはるかに上回る山の大先輩たちを相手に講義するなんて、そんな大それたこと・・・。なんて戸惑いもありつつ、精一杯がんばりました。

内容としてはごくごく一般的な初心者向けのものだったので、並み居るベテランの方々にご満足いただけたかどうか。

前日・前々日あたりは準備に大わらわでした。本棚から本を漁って、ああでもないこうでもないと資料作り。久しぶりに読み返すものもあったりして、自分自身の勉強にもなりました。

そもそもこの講座は上川支庁主催の「大雪山を知る講座」の一環として行われているもので、今年3月上川中学校でお話したのと同じものです。9月には東神楽町でも開催されるそうで、そこでもまたお話をする予定になっています。

ザックを背負わないでする仕事というのも、たまに気分が変わって面白いものです。

2008-08-28

街路樹もほんのり秋色

家の前の道路に植わっている街路樹。イチョウの葉がほのかに色づいてきました。並んでいる他のイチョウはどれもまだあおあおとしているのに、なぜかこの一本だけが黄葉を先取りしています。

山の上だけでなく、下界でも8月のうちに秋を感じられるとは。

2008-08-25

たった二日で紅葉は進む

土曜日に見た紅葉が、ほんの二日たっただけで月曜日にはぐっと色づいているのですから、おもしろいものです。

23日(土)


25日(月)


裾合分岐付近。撮影位置は若干前後していますが、中央部のナナカマドが色づいたのがはっきり見て取れます。

裾合平に入っていくと、さらに赤いナナカマドも待っています。

チングルマもより赤く、そして

より広く。このまま進むと見頃になるのは早そうです。

日一日と進む紅葉。これからの気温と天候の推移から目が離せません。

ああもう可愛らしくってしょうがない

姿見の池散策路にて。歩道のすぐ側までやってきて、岩の上でしばらくじっとこちらをみつめてきたその瞳。吸いこまれそうなつぶらな瞳。もうどうにでもして!

2008-08-23

裾合平は夏と秋の狭間に

快晴の土曜日。気持ちよく広がる青空。なのにツアーは不催行となり、泣く泣くプライベートで中岳温泉に行くことにしました。はあ。

ロープウェイ姿見駅から見る旭岳。暑くもなく寒くもなく、空には雲一つなく。ほんと、良い天気ですね(泣)。

すりばち池を経由して、裾合平方面に抜けていきます。双眼鏡で見ると、旭岳山頂にはたくさんの登山者の姿が見えます。一方で裾合平方面に向かう人はあまりいないようです。

旭岳とは反対側、旭川方面に目をやると、眼下に雲海、頭上には巻雲。爽やかと言う言葉そのままの空です。秋色の空、と言ってもいいかもしれません。

足下に目をやると、たとえばエゾオヤマノリンドウ。この辺りで咲く花としては最終グループに入る花です。そろそろ実になりつつあるものもチラホラ。

場所によっては登山道のすぐそばに白花も見られます。よく目を凝らすと、白の中にもうっすらと紫色が垣間見られ、涼しげな浴衣のようでもあり。

イブキトラノオは裾合平で絶賛開花中。小さな花がたくさん集まって咲いています。薄紅色の小さな花は、これまた風流です。

そして、これからの裾合平で主役の座を占めるチングルマ。花が終わり綿毛になって、さらに紅葉も始まっていました。

一番色づいていたのは裾合平最奥部。北鎮岳を背景にして、地面が赤く染まりつつあるのがわかります。これからこの色がどんどん濃くなり、面積が広がり、一面を覆うようになって紅葉最盛期を迎えるわけです。

ナナカマドは若干色づいてきたか?というところ。たしかに緑色は薄まってきています。実はすでに真っ赤に熟していました。

そろそろ秋の足音が聞こえ出す、そんな裾合平です。

2008-08-22

紅葉はもうすぐ

8月とも思えない冷え込みが山上を包み、高山帯では紅葉が進み始めたようです。

平山-文蔵岳間の稜線ではウラシマツツジがほとんど見頃を迎えました。秋の訪れをいち早く教えてくれるのは、いつだってウラシマツツジです。コケモモの実も美味しそうになっていますね。

樹林帯でもこの通り。ウラジロナナカマドがオレンジに染まっていました。こちらはまだ色変わり初め、という感じです。

紅葉の季節まであとわずか。今年の紅葉は山をきれいに彩ってくれるかな?

フンも秋色

一部の方に大人気、フン写真をまとめてドーンとお送りしましょう。

まずは、これ。 クロテンのものでしょうか。食べた木の実が消化されずに残っていて、それでいて色素だけは溶け出して糞を鮮やかな紫に染めています。きれいです。芸術です。

食べたのはおそらくクロマメノキなどのツツジ科の実でしょうね。それにしても、あれだけ消化されずにまるまる出てくるのですから・・・。本当に味わって食べているのでしょうか?

お次はご存じクマ糞です。実りの秋に近づき、クマたちも高山帯に現れるようになったようです。特に、平山から天狗岳の間は数十分毎にクマ糞に出会うほど。クマ糞ロードと命名したくなります。

分解してみると中身は様々。これは植物の繊維でしょう。セリ科植物の根でも食べたのでしょうか。まだほとんど乾燥していない新しめの糞でした。中を割ると、ふわっと緑の素敵な香り。知らない人が目隠しして香りだけ嗅いだら、とても糞とは信じられないでしょうね。

こちらも同じくクマ糞。見た目がガラリと違いますが、こちらはハイマツの実を食べた後。中には細かく砕かれたハイマツの実がぎっしり入っています。上の糞と比べると、色も違う堅さも違う匂いも違うで、食べたものが如実に表れるのは面白いものです。

ハイマツの実というのは、これです。まだ緑色で完全に熟していません。ホシガラスかなにかがつついて食べた後はこうなります。松ぼっくりの中に小さな種が残っているのが見えますが、そこに栄養がたっぷり含まれているのだとか。

実の色、草の色。登山道で糞を発見したら、ぜひ分解して観察してみてください。

最後の花

8月も後半に入ると高山帯は実の季節になり、花はほとんど見られなくなります。そんな中、 平山-比麻良山間の稜線上には、

タカネシオガマと、

コマクサが、まだ頑張って咲いていてくれました。

タカネシオガマもコマクサも、ほとんどが既に種になっていますので、わずかに残った赤やピンクの花色が一際鮮やかに見えます。紅葉が本格化する前に、最後のお花見に山に行くのもいいのではないでしょうか。

北大雪の縦走路2:平山-天狗岳

武華山-武利岳の他にも、平山-天狗岳なんていうロングトレイルもあったりして、ほんとうに北大雪は縦走の穴場です。

出発は標高の高い平山登山口から。稜線上の平山分岐までは割愛。今日も良いお天気で、表大雪の山並みがきれいです。

ここからは高山帯のゆるやかに続く稜線を比麻良山方面へ向かいます。

稜線の途中のニセイカウシペに向かう分岐から。アンギラスピークがそそり立っています。ニセイ-平山も楽しい縦走路の一つです。

比麻良山は稜線上のちょっとしたコブに過ぎませんが、景色は360度。一休みするには最適です。

さらに先を目指して、地形図上1755m点は通称文蔵岳。立派なケルンが積まれています。比麻良山からほんの少ししか歩いていないのに、景色ががらりと変わる感じがして不思議なものです。それはニセイカウシペとアンギラスピークの“裏側”が見られるからかもしれません。上川の町も間近です。

行く手にはまだまだ続く高山帯。踏み跡は所々不明瞭で、ここでもやはり植生が枯れきっていません。登山者の少なさを感じさせます。ここからゆるやかに樹林帯へと下り、登り返して右手奥の有明山を目指します。

武華山-武利岳間とは異なり、こちらの樹林帯はとても良く整備されています。標高1300m付近の笹原もこの通り。斜度が緩いこともあり大変歩きやすい登山道となっています。維持管理されている方々に感謝しつつ先を急ぎます。

木漏れ日注ぐ明るい樹林を登り返し、再びハイマツが現れたら有明山はもうすぐそこ。背後の展望も効くようになり、平山-比麻良山-文蔵岳-最低コルと今日歩いてきたコースを振り返ることが出来ます。

有明山の山頂はハイマツに囲まれて展望はありません。360度の展望は、そこから再び下って登り返して天狗岳までお預けです。まさに岩峰というべき天狗岳からは、

有明山の落ち着いた山容を見ることが出来ます。さっきまでよく見えていたニセイカウシペは有明山の向こうにちんまりと眺められるだけになり、一山越してきた実感が湧きます。

天狗岳から先はゆるやかな稜線歩きと、北大雪スキー場のゲレンデ歩き。車道まで下ってタクシーを呼べば10分ほどで来てくれます。そこから平山登山口までは5000円弱ですから、グループの方なら使わない手はありません。長距離トレイルにぜひご挑戦を。

2008-08-21

北大雪の縦走路1:武華山から武利岳へ

大雪山国立公園の北側に位置する山塊をまとめて北大雪と呼びます。表大雪や十勝連峰に比べると訪れる人も少なく静かな山行を楽しめる穴場で、かつ山と山を繋ぐ縦走路が整備されているのが嬉しい山域です。たとえばこれから紹介する武華山-武利岳などもとても魅力的なコースです。ツアーの下見に行ってきました。

冷え込み厳しい武華山登山口から歩き出して、ほどなくコース分岐が現れます。楽して武利岳を目指すなら、迷うことなく東尾根コースを選択。

樹林帯から飛び出しハイマツの背丈が低くなると、左手に緩い稜線と武華山山頂が見えてきます。真っ青な空はまるで秋のよう。

ほどなく赤テープひらめく前ムカ分岐に到着。武華山山頂には行かず、まっすぐ武利岳を目指します。まあまあ明瞭な踏み跡はまだ植生が枯れきっていず、フカフカしていて若干の罪悪感を感じざるを得ません。

武利岳に向かうには250mほど高度を下げ、その後350mほど登り返すことになります。その低い部分はガスに隠され、見えるのは武利岳山頂部分のみ。

ハイマツ帯を下るとほどなくダケカンバが目立つ樹林帯に入り、最低鞍部ではご覧の通りササが繁茂しています。登山道はほとんど見えません。適度な間隔で赤テープが巻かれてはいますが、頼りすぎないできちんと地形を見てください。

ササ藪の急斜面を登り返すと、ぱっと視界が開けて岩がちな細尾根に出ます。ここからが縦走路の楽しいところ。

早くも真っ赤になったウラシマツツジを愛でながら、尾根歩きを堪能。ガスがかかっていなければ左右の景色も楽しめることでしょう。

細尾根が武利岳の山腹に吸収されるようになると再び急斜面となり、しばらく頑張って斜度が緩くなれば山頂は間近。あとは景色を眺めながら、立派な標識の立つ山頂へ。

山頂からは、石狩連峰がどっしりと。

表大雪も間近に。その他の方角が雲海に包まれていて、支湧別岳や平山などは見ることができませんでした。

今日は下見なのでここで引き返しますが、8月31日のツアー本番では武利岳の登山口に向けて縦走していきます。歩き出す場所と歩き終える場所が違うというのはワクワクするものです。