2012-01-25

胡桃沢から枯柴山周遊

天人峡の手前、忠別川沿いに胡桃沢と呼ばれる一帯があります。あちこちに巨木があったりして、地元では割りと利用されているフィールドです。

その胡桃沢の南側に衝立のように長く連なる稜線があり、稜線上の一ピークに三等三角点が置かれています。点名:枯柴山。今日は胡桃沢から枯柴山を周遊してきました。

「枯柴山」なんて言っても、おそらく一部の例外を除いてほとんどの人には通じない、ごくごくマイナーな低山ではあります。そんな山に登ろうと思ったのは、一つには近場に穴場を開拓したいという地元ガイドとしての矜恃からで、もう一つには位置的に展望がよいのではないかという期待からです。

さて、枯柴山はその矜恃と期待を満たしてくれるのでしょうか・・・?

たまたま予定が空いていた佐久間と二人、やってきた胡桃沢。思いがけず快晴の青空に恵まれました。旭岳をはじめとする高山はまだ雲に隠れていますが、この後上手くすれば姿を現してくれるかもしれません。

まずやってきたのは「森の神様」と呼ばれるカツラの巨木。夏はすぐ近くまで車で訪れることができますし、冬はスノーシュー散策の目的地として人気があります。神様のすぐ後に見える尾根に取り付いてゆるゆると標高を上げていきます。

ちなみに森の神様は初夏に訪れるとこんな感じ。

鞍部に出ると徐々に景色が開けてきました。よく見ると雲に頭を隠した旭岳があるではないですか。

平らな平らな広い稜線を行く佐久間。ダケカンバとウダイカンバが半々くらいに交じり立っています。

木の間から見えるのは十勝岳。

木の間から見えるのは美瑛富士。富良野岳やオプタテシケも見えます。見えるのですが、残念なことに木が密生しすぎていて、十勝連峰の端から端までをきれいに見通すことができません。ブラインドの隙間から外を見ているような感じ。絶景が確かにそこにあることはわかっているのに、気持ちよく眺められないもどかしさ。どこかに展望台的な場所がないものか、むずむずしながら進みます。

結局そんな都合の良い場所はなく、最後の登りにかかります。ここを登りきれば、

三等三角点・枯柴山。山頂の上には爽快な青空が広がっています。ここも360度の展望があるにはあるのですが、周囲を木に囲まれているためすっきりと眺めることはできませんでした。

なんだかなーと思いながら、登りとは違う尾根を下りかけたところで息を飲む二人。そこに見えたのは旭岳。そして当麻岳。もしあの雲がなければ、それは素晴らしい景色が見えることでしょう。しかも普段ほとんど見ることのない角度からですので、新鮮味も大きいというもの。もやもやした気持ちを吹き飛ばす最高の展望で締めくくることができました。

当初の目的である、矜恃と展望、両方を満足させて、 半日ほどの下見は幕を閉じました。

2012-01-21

厳寒の事務所

東川では1月20,21日と最低気温がマイナス20℃を下回った。厳寒で知られる山樂舍BEAR事務所では、朝、台所へ行くと、悲しい光景が待っていた。

凍結防止のために出しっ放しにしておいた蛇口からシンクの底まで氷柱がつながっている。蛇口の根元あたりをバーナーであぶってみたが、水が出そうな気配はない。諦めて本格的な復旧作業にとりかかる。

こういう事態に備えて、いつでも外せるようにしてある床板を外し、床下の水道管を直接バーナーであぶる。

作業途中でバーナーの燃料が尽きてしまったので、灯油ファンヒーターを投入し、床下全体を暖める。

一時間ほどで、蛇口から水が出始め、一件落着!

2012-01-19

快晴の富良野岳・ホコ岩

週末のツアーの下見に富良野岳山腹にあるホコ岩まで行って来ました。

今日はたまたま予定が空いていただけなのですが、たまたまこんなド快晴の日に当たりました。最高!と嬉しくなると同時に、明後日のツアー本番までこの天気が持つだろうか・・・と心配にもなります。

歩き出しからしばらくはエゾマツの森。真っ白にこんもりと積もった雪がエゾマツを飾っています。太陽の光を浴びて一層きれいに。青空を背景にしてさらにきれいに。こんな景色を眺めながら登るとあっという間に標高が稼げてしまいます。

やがて高木の密度が低くなり、その間から遠くに旭岳が見えてきました。

さらに標高を上げるとエゾマツがなくなりダケカンバ帯に変わり、そのダケカンバもまばらになっていきます。すっきりと見渡せる景色は上富良野から美瑛方面。

そして間近に十勝岳。ここから見る十勝岳は美しすぎます。

徐々に尾根が細くなり斜度も増していきます。進む方向にちょうど太陽がかかり、昼間の日の出を楽しみつつ、最後の一登り。

振り向くとなかなかの高度感。雪質は適度に締まり、スキーで登りやすい感じでした。

いよいよホコ岩が間近に迫ってきます。背後から低い陽光が射し、雪の斜面に微妙な陰影をつけています。

急登を終えると突如として開ける視界。平な原に控えめな風紋。

快晴の空の下、わずかに湧き出した低い雲。雲の背後には芦別岳。

平原を進むと、眼前に見えるは富良野岳。夏道から見るたおやかな姿とは全く異なる荒々しい表情です。

さらに進んで小ピークへ。振り返るとホコ岩。一応ここが今日の目的地です。

上ホロカメトクを中心に、十勝岳・三峰山。見事な景色。風も全くなくいつまでもここで過ごしたくなる好天です。しばらく景色を堪能して下りにかかります。

帰りはベベルイ川の谷に入り一気に滑って下ります。下りきって見上げるとホコ岩は雲の中。いい頃合いに降りてきたということでしょうか。

気持よく過ごした一日。あとはツアー本番のお天気が気になるところです。

2012-01-16

夜遊びのすすめ

夜の山を歩いたことはありますか?夜は山や自然に対する畏怖の念を思い起こさせてくれます。たとえばよく訪れる見慣れた低山だったとしても、日が暮れてから歩いてみるとなんとなく厳かな身が引き締まるような気分になるものです。

そんな雰囲気を感じていただきたく、山楽舎BEARでは定期的にナイトハイクを行っています。先日催行されたのは東川町・岐登牛山を歩くツアー。

雑木の中の踏み跡。昼間ならばなんてことのない景色ですが、宵闇とナイター照明が相まって不思議な世界に一変しています。

展望台から見る夜景もナイトハイクならでは。少し遠くに都市の光が見えるというのが、控えめで良い感じではありませんか。旭川があまり大きい街ではないことも奏効しているのかもしれません。

一歩一歩が緊張感とともにあるナイトハイク。雪が仄青く発光しているかのような冬の夜を一緒に楽しんでみませんか?

次回は1月27日(金)、突哨山ツアーが予定されていますよ。

2012-01-11

雪雲の中の幌内山

旭川市と深川市の境界線をなす山、幌内山に行ってきました。前々からいつか行こうとは思っていたのですが、先日冬路山から見た姿がきれいだったことと、冬路山の雪質がたいへん歩きやすく、すぐそばにある幌内山も楽に行けるだろうということで、一気に気分が盛り上がったわけです。

前日地形図を眺めて、いくつか登山口候補を選定。その中から除雪状況・駐車スペース・山頂までの距離を勘案してほぼ真南から入山することになりました。

取り付きがやや急登ですが、すぐに緩やかな尾根となります。早速現れる送電線をくぐって先へ進みます。

思った通りよく締まって歩きやすい雪です。降りしきる雪の中、ガンガン進みます。途中、埋もれた看板を発見。地形図に出ていない林道があるようです。

急な登りはほとんどなく、あってもなんとかスキーで直登できる程度。3時間弱で平らで広い山頂部に到着。

赤テープもないし山頂の標識もないし、静かでよい山だなーと思っていたら、やっぱりありました。手製の標識が。ご丁寧にネジ止めされています。全くもってこういうものを設置する人の考えが理解できません。

雪が激しく降り続けているので、そうそうに山頂を辞そうかと思ったその瞬間、雪雲の向こうにちらりと太陽の姿が透けて見えました。

と、思うが早いか、雲に切れ間ができ、青空も現れてきました。さっきまで真っ白で何も見えませんでしたが、今や鷹泊方面の稜線が確認できます。もっと晴れれば冬路山も見えるのですが・・・

しばし景色を楽しんで下山にかかります。途中のピークからもなにやら山並みが見えています。やっぱり少しでも景色が見えると気分が全然違うものですね。

この後、気がつけば再び雪雲に巻かれてもうもうと降り始めました。山頂部にいるほんの数十分だけ晴れてくれたんですね。ありがたいことです。

2012-01-08

冬路山からの展望

一等三角点が設置されているのも納得の大展望を楽しめる冬路山。久々に快晴の日に訪れることができたので、山頂からのパノラマ写真をどうぞ。


目立つ山だけでも、左から天塩岳、北大雪、表大雪、十勝連峰とそうそうたる顔ぶれ。細かく見ていくとキリがないほど道北の様々な山が見渡せます。

何度見ても素晴らしい展望。こんな日に来られて良かった。

2012-01-03

三等三角点・盤ノ沢

札幌岳からわずか北東に標高893.3mのピークがあります。山容は特徴的で、富士山を左右から挟んでつぶして細長くしたような感じですが、地形図には三角点記号があるだけで山名は載っていません。登山道もない名前もないごくマイナーな低山といったところでしょうか。調べてみると、設置されている三等三角点の点名は「盤ノ沢」となっています。ずいぶん昔に札幌岳に登った時におそらく目にしているとは思うのですが、全く意識の中には入っていませんでした。

そんな三等三角点・盤ノ沢に登ってきました。もちろん自分で発案したわけではなく、さるお客様からのリクエストなのですが。 三角点を踏むついでに足を延ばして最高点にも立ちたいというのが流石です。

まだお正月気分が濃く残る札幌市街を通り抜け、南区豊滝にやってきました。林道入口に車を置き、まずは札幌岳の夏道登山口を目指します。林道にはスキーとスノーシューの跡が一つずつ。この年末年始のものでしょう。結構登られている山なのかもしれません

雪に覆われた札幌岳登山口。もう10年以上前の夏に一度登ったきりなので、この辺りの感じは全く覚えていません。三等三角点・盤ノ沢の真西あたりで林道を外れます。スキー・スノーシューの跡ともここでお別れ。でも積雪は少なめで、つい先日股下までの深雪を漕いできたので、とても楽に感じます。

これは楽に山頂に立てるかな、と一瞬思いましたが、そうは上手くいかないのが世の常。最高点から南西に延びる尾根に取り付いた辺りで様相が一変して、急登とヤブが立ちはだかってきたのです。実際には、斜度自体はそこまで大変というわけではなかったのですが、登りやすいルートをことごとく立木が邪魔をしてきます。

基本、ヤブが濃く遠望はほとんど効かないのですが、ときおり背後が明るくなり少しだけ疲れを癒してくれます。

こんなヤブが延々と続きます・・・。ストックを握っているよりも、幹や枝に手をかけている時間の方が遙かに長いありさま。ラッセルがほとんどないので、下半身より上半身を使って登る感じです。

ここが三等三角点・盤ノ沢を含む山体の最高点。標高およそ940m。登るにつれて斜度が増し、尾根が細くなり、立木の密度も高まり、標高差400mを登るのに2時間30分近くかかってしまいました。

雪雲の合間にときおり陽射しが刺すお天気。山頂からは青空を見ることはできませんでしたが、一瞬の隙に札幌岳方面が現れました。札幌岳ってこんな形の山だっけ・・・。ほんの少し休憩して、次は三角点へ向かいます。

細い尾根をたどってやってきた三角点。もちろん標柱自体は雪の下ですが、ピンクテープが巻かれているのでそうとわかります。最高点まで目印は一切ありませんでしたが、最高点~三角点の小ピークから先になると要所にテープが見られるようになりました。今日私が登ったルートとは反対側からは登ってくる人が結構いるということですね。

三角点からの下りもこの通りのヤブ。せっかく傾斜のある下りなのに、全然スピードが出ません。通り抜けられる箇所を探して、右にウロウロ、左にウロウロ。

2012年の初登り、仕事始めはなかなか難儀な山でした。

新雪、深雪

もう一週間も前、昨年末のことになりますが。旭岳山麓、天女が原の森の積雪状況です。冬シーズンを通してここまで深くて重い雪はなかなかないという新雪の深雪でした。

歩けば股下まで雪に浸かり、

太ももで雪をかき分けて、じりじり進む感じ。

転べば体が雪に埋まり、

慣れていない人は立ち上がるのも大変なくらい。

でも、雪を楽しむにはこれくらいの方がいいんですけどね。